「怖いセンパイ」いい?悪い?? | B-Boy Takeo のブログ

「怖いセンパイ」いい?悪い??

18/5/20、UK B-BOY CHAMPIONSHIPS の東北予選を行いました。
ご参加、ご観覧、ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

さて、UK B-BOY CHAMPIONSHIPS の予選で全国を回っていると、地域ごとの特徴を感じることが多い。これは海外の大会でジャッジをしている時に感じる国の違いにも似ている。
いろんな地域の中でも特に特徴的だと毎回感じるのはこの「東北予選」である。
今回もその特徴の片鱗を多く感じた。

いくつかあげてみる

・フットワークを中心とした洗練されたスタイル
・先輩後輩の縦のつながり
・シーンのまとまり感
・人々の礼儀正しさ

などであろうか。
よく考えれば、自分が上に挙げた内容は全てお互いに連携しあってできているようにも思える。

あくまで私見であるが、とても雑な言い方をすれば、怖いセンパイが地域にいて、その先輩の元にまとまったシーンがあるという事だろうか。

怖いセンパイは昔は沢山いた(笑)
自分が高校生の時に始めた時は、まわりは悪い人ばっかりだった。
暴走族上がりとか、街のヤンキーとか、そういう人ばかりがブレイクをやっていた。国や立場、環境を超えて、HIPHOPの根底に流れるそういう匂いに同調したのがそういう人達だったんだと思う。
だから、先輩後輩のつながりというか、上下というのは結構強かったのではないかと思う。

現在はHIPHOPもブレイクもどんどん広がって、いわゆる「悪ガキ」ではない、昔では珍しかった自分みたいな「普通の人」や、子供や、シニア層まで関わっている人達がいる。
そんな中で、特定の人達がやっていた特殊なもの、グループ、上下関係がどんどん希薄になったのが今なのではないだろうか。

それはどちらにも いい点、悪い点がある。

実際先日行われたUK B-BOY の東北予選では、バトルで若手とベテランがぶつかり、若手に怒った先輩が威圧するようなシーンも見受けられた。
後輩からしたらやっぱりちょっと怖いと思う(笑)

そういう怖い地元のセンパイのダンスがイケてなかった場合、その地域のシーンは大分つらいことになってしまうと思う。
イケてない怖い先輩は自分を超えることを許さないだろうし、そういう若手の台頭を好まない。
実際地方におけるそのような例はよく目にしてきた。

しかし、自分が知る限り東北のセンパイ達はかなりイケてます!
あの独特なフットワーク、スタイル、体のフォームやディテイルへのこだわりは代々受け継がれて育ったものだと思う。
みちのくブレイカーズに始まり、エクスコラボレーション、コンクルージョンクルーと、脈々と受け継がれていると感じる。


「いやいや、俺はそういう人達に教わったことがないから関係ないよ・・・」と思っている人もいるかも知れません。しかし、これは前にも書いたことだが、シーンというのは常に影響しあって出来ているのです。
それは、沖縄に生まれた人と、青森に生まれた人の気質が違うのと同じことです。人間は、自分が意識していなくても周りの環境に多分に影響を受けて育ちます。
1人だけ独立して成り立つことなんて出来ないのです。
直接指導を受けていなくても、そういう先輩たちを見る機会が多かったり、先輩に教わった人に教わっていたり、その更に友達と一緒に踊っていたり等、人間は必ず外部からの影響をうけて生きています。
自分が気づかないうちにそういう人達から多くの影響を受けているのです。

俺はこの土地に行くたびに常にこの「東北イムズ」を感じます。
今回ジャッジを頼んだ地元の2人の態度も素晴らしく礼儀正しい。
これはこの2人の気質もあると思いますが、育ってきた環境、先輩からの影響や上下関係もあると思います。
だから、なんとなくですが、この東北のシーンはまとまっていていいなと感じるのだと思います。

先輩がコワイと超えていけないのではないだろうか?
抜きんでたことは出来ないのではないだろうか?
そういう疑問もあるかもしれないです。
それは、確かにそういう事もあると思う。
でも、現代、ここまで広がってきた世界では、そういう一極化は難しいと思う。だから若手は先輩へのリスペクトを心にもって、後はどんどん自分なりにやっていってもらったらいいと思います。

もしかしたら、先輩が理不尽な事を言ったり、したりする事もあるかもしれない。でも、それは飲み込める範囲だったらある程度飲み込んで、先輩を大事にして欲しいです(笑)。
シーンに対して愛情がある先輩、仲間に対して愛情がある先輩、後輩に対して愛情のある先輩の、ちょっとだけ困った言動は後輩も許容して付き合っていきましょう。
自分も実際そうやってきました。
先輩にはそれだけ学ぶことがあります。
ダメなところは見習わないで、自分が自分の後輩にしなければいい事です。そしてその他沢山あるセンパイのいい所を吸収して、自分なりに消化して、自分のものとしてアウトプットしてください。
これがRESPECTもBITEもあるHIPHOPの精神です。

もちろん、とんでもない理不尽を我慢することはありません。
それはきちんと対応してください。

東北のイケてる怖いセンパイ達は、これからも、きっと多くの愛情をもって後輩達を育ててくれると信じております。

若手はどんどんこういう先輩達から吸収して、そして超えていってください。

その時先輩たちはきっと背中を押してくれると思います。

センパイ達は是非愛情をもって後輩たちに接していってあげてください。

自分の直接の生徒でなくても東北の子達は皆あなた方の後輩です。

これからもよろしくお願いします。


P.S.
電車の遅延で遅れてきたチームの子達がいました。
予選バトルの順番を一番最後に回して、無事参加する事が出来たのですが、休憩時に「今日は遅れてすいませんでした」と挨拶しに来てくれました。こういう事もあまり経験のない事です。
一般的には当たり前なのかもしれないが、そういう事をちゃんとする人達がいるのも、もしかしたらこの土地の気質なのかなと思いました。
とても素晴らしい予選でした。
ありがとうございました。