こんにちは。せいじょう鍼灸院の草野です。

前回まで、2本書きました。

1本目は、介護しているご家族が自分の体を後回しにしている、という話。

2本目は、私自身の50代の体の話でした。

今日はまた、訪問の現場のほうに戻ります。

1本目で少しだけ触れて、そのままにしていたことがあります。

「そのうち病院に行きます」と言ったまま、2年、3年と経っている。

これがなぜ起きるのか、ということです。

先に、数字をひとつ。

ある市が2023年に行った、家族を介護している人への調査があります。

567人が答えたものです。

その中で、介護している人がしていることを聞いた項目があります。

家事全般が83.2%。

そして、通院の付き添いが76.5%

4人に3人が、ご家族の通院には付いて行っている。

一方で、同じ調査で、体の不調があると答えた人が38.3%。

自分が通院していると答えた人が、37.7%です。

この2つがほぼ同じ数字だからといって、

「不調がある人は全員通えている」とも「半分が通えていない」とも言えません。

そこまでは読み取れない調査です。

ただ、付き添いの76.5%と並べると、少し引っかかるものはあります。

家族の通院には付いて行き、自分の通院はしていない。

私が訪問先で見ているのも、だいたいこの形です。

では、なぜ行かないのか。

「忙しいから」で片づけたくなりますが、少し違うと思っています。

行けない理由は、時間の総量ではなく、時間の形のほうです。

病院に行くとなれば、受付をして、待って、診てもらって、会計をして、薬局に寄る。

国の2023年の調査では、病院の外来で診察までの待ち時間が

1時間以上だった人が22.2%でした。

これは診察を待つ時間だけの数字で、移動も会計も薬局も入っていません。

積み上げれば、半日はみておく必要があります。

問題は、その半日をどうやって作るかです。

その間、ご本人を一人にしておけない。

ヘルパーさんの時間を動かすのも簡単ではない。

先ほどの調査では、自分の代わりに介護をしてくれる人が

「いない」と答えた人が32.5%、「頼みにくい」が24.0%でした。

合わせると6割近くになります。

つまり、半日という単位が、そもそも手元にない。

先日、いつもはご本人だけの訪問先で、たまたま娘さんがいらっしゃいました。

何度かお会いしたことのある、私と同じ50代の方です。

ずいぶん疲れているように見えたので、少しお話を伺いました。

肩も、腰も、あちこち痛いとおっしゃる。

ただ、私が伺っているのはご本人の施術のためで、

その時間で娘さんを見ることはできません。

できたのは、どこがどう痛いのかを、一通り聞くことだけでした。

聞きながら思っていたのは、この方の半日は、いまどこにあるのだろう、ということです。

もうひとつ、これは数字にならない話です。

自分の用事のために半日を空けることを、そのうち思いつかなくなる。

毎日の予定が、ご本人の通院、デイサービス、薬の受け取りで埋まっていく。

その並びの中に、自分の受診という項目が入ってこない。

忘れているのではなく、**選択肢として頭に浮かばなくなっている。**

そう見えることが、よくあります。

ここを誤解されると、いちばんつらいと思います。

行く気がないわけではありません

「そのうち行きます」は、言い訳ではなく、本心だと思っています。

だから「病院に行ってくださいね」と言うだけでは、何も動きません。

私も長いこと、その一言しか言えませんでした。

最近は、少しだけ言い方を変えています。

ご本人の通院に付き添う日が決まっているなら、

その同じ日に、ご自分の分も予約を取れないかと聞くようにしました。

どうせ半日は空けているのだから、と。

これが、なかなかうまくいきません。

ご本人が通っているのは大きな病院であることが多く、

そのついでにご家族が別の科で診てもらう、というのは簡単ではないそうです。

そうなると、結局は改めて自分だけの予約を取ることになる。

そして、忙しくてそこまで手が回らない。

ここに戻ってきてしまいます。

半日を新しく作るのは難しい。

すでに空けてある半日に乗せるのも、思ったほど簡単ではない。

正直なところ、うまくいった例は、いまのところほとんどありません。

前回も書きましたが、こちらから聞かなければ、この話は出てきません。

「腰、大丈夫ですか」と聞いて、はじめて「実は」と返ってくる。

その「実は」の先を、もう一歩だけ具体的にする。

いまのところ、私にできるのはそこまでです。

また書きます。

訪問の範囲やご相談は、こちらから。
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