昨年から始まりました、上期末にお送りする50年前のアルバム・ベスト10。今年もこの難題に挑戦したいと思います。年初から50周年記念アルバムをピックアップいたしておりますが、ここでまとめて、1974年に発表されたアルバムを、無謀にもランキング形式でご紹介いたします。

74年、こし少年は中2。前年、ビートルズにより洋楽ロックに目覚め、この年には、いよいよビートルズ以外の音楽にも挑戦するに至りました。個人的にはロック元年とも言うべき年です。とはいえ、少ない小遣いの中から大してアルバムも買えず、ビートルズの未購入のアルバムをゲットしながら、ディープ・パープル、グランド・ファンク、レッド・ツェッペリン、クイーンのアルバムをリアルタイムで聴いておりました。したがって、ここに登場するアルバムは、ほとんどが後追い。数年後に聴いたアルバムもあれば、大人になってから聴いたアルバムもごちゃまぜです。

そんなわけで、リアルタイムで聴いて衝撃を受けた作品が上位に来る傾向がありますので、このランキングにご批判のある方も多いかと思いますが、1つの見方として、気楽に笑ってご覧いただければ幸いです。

それではまずベスト20に入れなかった次点10枚をご紹介いたします。

次点(アーティストのアルファベット順
 Get Your Wings / Aerosmith
 461 Ocean Boulevard / Eric Clapton
 Coat And Spark / Joni Mitchell
 Miles of Ailes / Joni Mitchell
 The Hoople / Mott the Hoople
 On the Beach / Neil Young
 Paradise And Lunch / Ry Cooder
 The Souther, Hillman, Furay Band (1st)
 Kimono My House / Sparks
 TAKE OFF (離陸) / チューリップ

ほとんどが後追いですが、リアルタイムで東芝のステレオ・ショールームで試聴したエリック・クラプトンの復活アルバムは、残念ながらここに留まりました。また、ラジオでシングル・カットされた曲を耳にしたニール・ヤングジョニ・ミッチェルモット・ザ・フープルも次点となりました。エアロスミスの日本デビュー作となった2ndも、後のアルバムに比べると、まだ威力を発揮できてない感じでした。「青春の影」を収録したチューリップのアルバムも入れさせていただきました。

この中から、ジャケットのインパクト度ではこの年No.1のスパークス"Kimono
My House"
から、"Amateur Hour"をお聴き下さい。


続いて、ベスト10入りを逃した10枚をランキング形式でご紹介します。

第20位 Country Life / Roxy Music
第19位 I Want to See the Bright Lights Tonight 

     / Richard And Linda Thonmpson
第18位 Burn / Deep Purple
第17位 On the Border / Eagles
第16位 Feats Don't Fail Me Now / Little Feat

第15位 Bad Company (1st)
第14位 Sheer Heart Attack / Queen
第13位 Pretzel Logic / Steely Dan
第12位 Fulfillingness' First Finale / Stevie Wonder
第11位 Planet Waves / Bob Dylan


大型新人と期待された、バッド・カンパニーのデビュー・アルバムとクイーンの3rdアルバムがベスト20入り。イーグルスリトル・フィートスティーリー・ダンといったアメリカン・ロックの大物もベスト10入りを逃しています。先日ご紹介したスティーヴィー・ワンダーの作品もここに留まりました。

それではこの中から、私がビートルズ以外で初めて買ったロック・アルバムである、ディープ・パープル"Burn"からアルバム・タイトル曲をお聴き下さい。イアン・ギランとロジャー・グローヴァーが抜け、デヴィッド・カヴァーデイルグレン・ヒューズが新規加入した新生パープルです。演奏は1分40秒辺りから始まります。


さあ、いよいよベスト10の発表です。まずは10位から6位。



 

第10位 Diamond Dogs / David Bowie
第9位 Lamb Lise Down on Broadway / Genesis
第8位 Red / King Crimson
第7位 It's Only Rock 'N Roll / The Rolling Stones
第6位 Blood on the Tracks / Bob Dylam


デヴィッド・ボウイの新キャラが10位。ピーター・ガブリエル在籍時最後のアルバムとなったジェネシスの2枚組コンセプト・アルバムが9位に入りました。ザ・ローリング・ストーンズボブ・ディランのコロンビア復帰作も、当時はピンと来なかったのですが、今では愛聴盤です。 

この中からは8位に入りました、キング・クリムゾンの当時はラスト・アルバムと言われた"Red"から"Fallen Angel"をお聴き下さい。度重なるメンバー・チェンジを経て、ロバート・フリップジョン・ウェットンビル・ブラッフォードのトリオ編成になってしまいました。


第5位 Walls And Bridges / John Lennon

ジョン・レノン単独のスタジオ・オリジナル・アルバムとしてはラストとなってしまった作品。オノ・ヨーコと別れ、ロスアンセルスで、いわゆる「失われた週末」を過ごしていた時期の録音作品で、ジョン本人はあまり好きな作品ではないそうですが、個人的には、暖かい雰囲気の作品でたいへん気に入っていました。2枚目のシングル・カットとなった"#9 Dream"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=K8poht52GAs

第4位 Before the Flood / Bob Dylan/The Band

この年。ディランはスタジオ・アルバム2枚に加えて、ザ・バンドと共演した北米ツアーの模様を収めた2枚組ライヴ・アルバムを発表しています。個人的にはディランとザ・バンドの入り口となった作品ということで、高位にランキングさせていただきました。フォーク時代の曲をエレクトリク・アレンジしたトラックや、8曲収録されたザ・バンドのみの演奏が収録されており、初心者には美味しいアルバムでした。アルバム・オープニング・ナンバーで、"Blonde on Blonde"に収録されていた"Mostly Likely You Go Your Way"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=PtGETswxV3k
 

第3位 一触即発 / 四人囃子

そして3位には日本のバンドが入りました。当時は、サディスティック・ミカ・バンド、クリエーション、カルメン・マキ&OZ等、国内のロック・バンドの活躍が顕著になって来ておりました。その中でも、欧米ロック・ファンを唸らせたのが、森園勝敏率いる四人囃子。個人的には日本のロック・アルバムの最高峰と思っております。そのアルバム・タイトル曲で12分を超える「一触即発」をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=sEamMwhPYAI

第2位 Queen II / Queen

第2位は、私を本格的にロックの世界に引き込んだクイーンの2ndアルバムです。ビートルズ以外のバンドのアルバムを聴きながらも、やっぱビートルズの練り上げられたアルバムには叶わないなと思っていましたが、このアルバムはそんな考えをぶっ飛ばしてしまいました。曲の構成力や、静と動とのコントラスト、演奏能力の高さ等、圧巻の作品でした。シングル・カットされた"Seve Seas of Rhye"をお聴き下さい。アルバム購入前にエアチェックして何度も聴きました。
https://www.youtube.com/watch?v=u7e4Tr9IH5U

第1位 Late for the Sky / Jackson Browne

興奮気味にお伝えしたクイーンを押さえて、74年のベスト・アルバムに選びましたのは、ジャクソン・ブラウンの3rdアルバムです。77年の春に後追いで聴いたのですが、訳詞を見ながら聴いてると、とっても刺さって来た作品でした。特に、アルバム・タイトル曲の"Late for the Sky"に感じられる、青春独特のどうにもならないモヤモヤ感が秀逸です。デヴィッド・リンドレーのギター・ソロも最高。お聴き下さい。



ジャンル的にはごちゃごちゃのランキングになってしまいましたが、半世紀にわたって聴かれて来たアルバム、それぞれの素晴らしさを感じていただければ幸いです。