不定期にお送りしております、フライディ・ジャズ・クラブ。2か月ぶりのアップです。今回は、レコード・コレクターズ誌5月号の「フュージョン・ベスト10:洋楽編」で見事1位を獲得した、ハービー・ハンコックのアルバムをピックアップいたしました。

 

Headhunters / Herbie Hancock
73年発表

60年代のマイルス・デイヴィスの黄金期を支えて来たハンコック。自らもリーダー・アルバムを発表し続け、このコーナーでも取り上げた65年発表に"Maiden Voyage"はジャズ史に残る名盤と評価されております。

そんな彼が73年に発表したこのアルバム。ハンコックとしては初めてジャズ・チャートでNo.1を獲得し、商業的に大きな成功を収めるとともに、後のジャズ・ファンクやフュージョンに大きな影響を与えた作品として、歴史的な評価も高い作品です。

めざましテレビにも影響を与えたかのようなファニーなジャケットながら、当時の先端を行くサウンドであったと思います。

【パーソネル】
 ハービー・ハンコック:キーボード
 ベニー・モウピン:サクソフォーン
 ポール・ジャクソン:ベース
 ビル・サマーズ:パーカッション他
 ハーヴィー・メイソン:ドラムス


ほとんどのメンバーがこのアルバムで注目を浴びた新進気鋭の若手。ドラムスのメイソンのみが、このアルバムに参加する前に、キャロル・キングやドナルド・バードと共演した経験があるそうです。ハンコック以外の4人はザ・ヘッドハンターズとして、この後もハッコックの作品に参加したり、自らの名義でアルバムを発表していたようです。

【収録曲】
 ① Chameleon
 ② Watermelon Man

 ③ Sly
 ④ Vein Melter


オープニングの①"Chameleon"は、緊張感溢れるファンキーな電子音リズムに乗せて、サックスやシンセサイザーが奏でる旋律が縦横無尽に飛び交うナンバー。ジャズというよりは、ファンクやソウルのテイストの方が強い感じがいたします。


ハンコック自身が62年に発表した曲のセルフ・カヴァー、②"Watermelon Man"。カヴァーというよりは新解釈といった方が適切な位、エレクトリック・ジャズとして全く別の曲として生まれ変わっているように感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ppJQKfqhFfE

また、③はタイトルからもおわかりのよう、スライ・ストーンに捧げられた曲だそうです。


既に名声を得ていたハンコックですが、現代における彼の評価を決定づけた作品であったのではないかと思います。