「ピックアップ・アーティスト」はボブ・マーリーを取り上げています。UKデビュー以降のスタジオ・アルバムを時系列に取り上げておりまして、今回は、74~76に発表された2枚のアルバムをピックアップしました。

73年にUKでのデビューを果たし、USツアーも敢行した彼らですが、主要メンバーであるバニー・ウェイラーとピーター・トッシュが実質的に脱退してしまい、2人抜きで新たな作品に取り組みました。

 

Natty Dread / Bob marley & The Wailers
74年発表

74年1月から新たなメンバーを迎えて新作の録音開始。7月にはエリック・クラプトンが"I Shot the Sheriff"で全米No.1を獲得し、彼らの知名度が大きく上がっていた時期。10月にこのアルバムが発表されました。

前2作に比べると、サウンドも更にブラッシュ・アップされ、安定感も増して来たように感じます。異世界の音楽というよりは、当時のロックやソウルに勝るとも劣らない音楽であると感じます。

【収録曲】
 ① Lively Up Yourself
 ② No Woman, No Cry
 ③ Them Belly Full (But We Hungry)
 ④ Rebel Music (3 O'Clock Roadblock)

 ⑤ So Jah Seh
 ⑥ Natty Dread
 ⑦ Bend Down Low
 ⑧ Talkin' Blues
 ⑨ Revolution


彼らの代表曲の1つの②"No Woman, No Cry"のオリジナル・スタジオ・ヴァージョンはここに収録されています。ライヴでの心に沁みる演奏とは異なり、とっても軽い感じのアレンジで演奏されています。
https://www.youtube.com/watch?v=TfNymCvydHc
 

このアルバムから参加した、マーリーの妻リタ・マーリーら3人の女性コーラス、アイ・スリーズが全面にフィーチャーされた③"Them Belly Full (But We Hungry)"は歯切れの良いリズムが印象的。


B面トップに収録された⑤"So Jah S'eh"はラスラファリで神を意味するジャーを称えるナンバー。リタがクレジットされています。
https://www.youtube.com/watch?v=eTgz3XqSLtY


75年は新作スタジオ・アルバムは発表されませんでしたが、7月のロンドン公演の模様を12月にライヴ・アルバムとして発表。これが高い支持を得て、彼らの評価が最高潮に達します。こちらは当ブログの20世紀のロック・アルバムに選ばれておりますので、そちらを参照下さい。貼り付け映像等は現時点で閲覧可能なものにリバイスしております。
https://ameblo.jp/bbkosi/entry-12471170588.html?frm=theme


そして76年4月には新作スタジオ・アルバムを発表します。

 

Rastaman Vibration / Bob marley & The Wailers
76年発表

ライヴ・アルバムでその評価を決定づけた彼らが、その実力を余すことなく織り込んだ新作。USアルバム・チャートでも初のベスト10入りとなる8位にまで上がるヒットとなりました。商業的に成功した彼らでしたが、そのサウンドの真髄はブレることのないものでした。

【収録曲】
 ① Positive Vibration
 ② Roots, Rock, Raggae
 ③ Johnny Was
 ④ Cry to Me
 ⑤ Want More

 ⑥ Crazy Baldhead
 ⑦ Who the Cap Fit
 ⑧ Night Shift
 ⑨ War
 ⑩ Rat Race


オープニングは78年の2枚組ライヴでもオープニングを飾った①"Positive Vibration"。実質的なアルバム・タイトル曲と言って良いでしょう。最早、貫禄すら感じさせる王道レゲエ・ナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=kbpeEUpQcAQ
 

ベーシストのアストン・バレット作の⑤"Want More"は、ゾクゾクとするイントロが印象的。発売当時の映像がありましたのでご覧下さい。

 

ライヴでも定番となっている⑨"War"。ラスタファリ運動で神の化身と崇められたエチオピアの皇帝、ハイレ・セラエシ1世のスピーチが元になっている曲だそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=-JwL3lPBQ5E

クラプトンのカヴァーやライヴ・アルバムで、まさにアゲアゲ状態となっていた時期の脂の乗った作品2枚でした。