前月に先行シングルとして発表された2曲を含む、ザ・ローリング・ストーンズの新作が72年5月に発表されました。今回はなんとLP2枚組の大作でした。

UKL-16,USL-18 Exile on Main St.


 

前作"Sticky Fingers"発表後、税金逃れのためフランスへ移住。キース・リチャードの自宅の地下室で、71年7月からこの新作のレコーディングが本格的に開始されました。ところが多くのメンバーやスタッフがクスリ漬けなり、レコーディングを主導していたキースが数時間もスタジオを離れる等、レコーディングは困難を極めたそうです。11月でフランスでの録音は終了し、12月にはロスアンゼルスで、今度はミック・ジャガーの主導でオーヴァー・ダビング作業が行われ、72年1月にようやく完成したのだそうです。

サウンドの方はスワンプ色の強い土の匂いのするもので、曲によってロックンロール、ブルーズ、カントリー、ゴスペルといった要素が感じられ、ヴァラエティに富んでます。しっかりと作り込まれていないチューンもあったりしますが、そこがまたルーズな感じで味があります。

プロデュースは前作に引き続きジミー・ミラー。ゲスト・ミュージシャンに、ニッキー・ホプキンスボビー・キーズビリー・プレストンらが参加しています。もちろん、6人目のストーンズ、イアン・スチュワートも3曲でピアノを弾いています。

まずはA面の5曲
Rocks Off
② Rip This Joint
Shake Your Hips
Casino Boogie
⑤ Tumbling Dice


オープニングはミドル・テンポのロック・ナンバー①。この時期のストーンズらしさ全開です。さらにテンポアップしたハードロック・ナンバー②。冒頭2曲の勢いに圧倒されます。③ではブルーズマン、スリム・ハーポが66年に発表した曲をカヴァー。ここで一気にシブくなります。リラックスした雰囲気のスワンプ色満点の④では、ボビー・キーズのサックス・ソロが印象的。先行シングルとなった⑤もこの時期特有のネットリ感のあるロック・ナンバー。

それではここから、②"Rip This Joint"のライヴ映像をお楽しみ下さい。


続いてB面の4曲
Sweet Virginia
Torn And Frayed
⑧ Sweet Black Angel
Loving Cup


B面トップ⑥はアコースティックなサウンドのカントリー調ナンバー。グラム・パーソンズの影響が伺えます。⑦は"Beggars Banquet"に入っててもおかしくないようなゆったりとしたロック・バラード。⑤のB面として先行シングルとして発表された、こちらもアコースティック・サウンドをバックに歌われます。"Let It Bleed"録音時から温めていた⑨がここで陽の目を見ます。ホプキンスのピアノを全面にフィーチャーしたロック・バラードです。

ここからディスク2、C面の5曲です。
⑩ Happy
Turd on the Run
Ventilator Blues
I Just Want to See His Face
Let It Loose


ディスク2のトップ⑩はキースのヴォーカル・ナンバーとして知られるナンバー。ノリの良い曲です。ボー・ディドリー風のロックンロール・ナンバー⑪は小刻みなリズムで高揚感を煽ります。ミック・テイラーもクレジットされた⑫は軽快なリフが印象的。ジャム・セッションをそのまま収録したような⑬では、ミックのヴォーカルもかなり引き気味です。そして当アルバムのベスト・トラックの1つと思っている⑭は、美しいリフをバックにミックがじっくり歌いあげるゴスペル調ナンバー。

ラストのD面の4曲です。
⑮ All Down the Line 
Stop Breaking Down
Shine a Light
Soul Survivor


最終面のオープニングは、またまたノリの良いストーンズ・サウンドの⑮で始まります。こちらは"Sticky Fingers"の録音時から温めてた曲だそうです。続いてロバート・ジョンソンのカヴァー⑯を繰り出して来ます。かなりタイトなロック・アレンジです。プレストンが参加した⑰も60年代後半にミックが書いたらしいゴスペル調のナンバー。ラストは、ストーンズ得意のミドル・テンポのタイトなロック・ナンバー⑱で締めくくられます。

ここからは⑮"All Down the Line"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=B51A6bcMeDY



USS-23 Happy / All Dowm the Line


そして、7月には上記のアルバムの⑩"Happy"が⑮をB面にカップリングして,

USで発表されています。

ということで最後にその曲ををお聴き下さい。