ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。花見やらGWやらで2週もお休みをいただいてしまいました。ブートレッグ・シリーズ第2集も残りわずかとなっております。73年11月に録音され、74年1月に発表された、ザ・バンドをバックに従えたアルバム"Planet Waves"から唯一のアウトテイクです。

 

Nobody 'Cept You
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

単純に捉えるとストレートなラヴ・ソング。"You"以外には目もくれない男の独白といった内容です。特徴的なのは、教会で聞いた讃美歌や、墓地で遊んだこと等、ノスタルジックな描写も含まれていることでしょうか。解釈の仕方によっては、「神」への語りかけとも考えられます。

サウンドの方は、"Planet Waves"に収録されていても全くおかしくない内容で(当たり前ですが)、ザ・バンドの面々が見事にサポートしています。ドラムスはリチャート・マニュエルが叩いたテイクとリヴォン・ヘルムが叩いたテイクがあるようですが、録音期日からみると前者であるようです。

まずはディランのHPで原詩を確認下さい。実際に歌われる歌詞と一部異なる部分もありますが、こちらをもとに訳させていただきます。
https://www.bobdylan.com/songs/nobody-cept-you/

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オレの周りには信じるものがない オマエ以外には そうオマエ
オレにとって神聖なものはない オマエ以外には そうオマエ

オマエだけなんだ オレに届くのは
オマエだけんなだ オレが憧れるのは
オレたちが会うたびに オレの心は火がついたよう
オレにはなんにも関係ないし 欲しいものは何もない
オマエ以外には そうオマエ

オレの周りには試したいものはない オマエ以外には そうオマエ
生きるのにも死ぬのにも何も残ってない オマエ以外には そうオマエ

いつも教会で聞いていた賛美歌は
オレを心から気持ち良く 平和に 崇高にしてくれる
あの耳慣れた鐘の音を思い出させるものはない
オマエ以外には うんオマエ

子どもの頃墓地で遊んで 踊って 歌って 走ったもんだ
決して奇妙には思われなかったが 今はただ悲しげに通り過ぎる
命の骨が積みあがっているあの場所 何かが変わったとわかってる
オレは見知らぬ人で 誰もオレを見てくれない
オマエ以外には そうオマエ

大して重要なことも 楽しませてくれそうなことは何もない
オマエ以外には そうオマエ
オレに催眠術をかけたり 呪文をかけたりするものは何もない
井戸から出る水のように 全てがオレの側を走っている
みんながオレの注意を引きたがる みんなが売る物を手に入れた
オマエ以外には そうオマエ
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それでは曲をお聴き下さい。