これまでいろんな音楽映画を観て来ましたが、これはベストの部類に入る作品だと思います。18年に公開され、日本では22年に公開されていたようですが、当然、青森では上映されませんでした。ようやく昨年WOWWOWで放映されたものを録画して、なんとか観ることができました。さらに、最近、そのサウンドトラック・アルバムもゲットしましたので、本日、取り上げさせていただきました。このサントラ、最近のヘビー・ローテーションです。

 

Echo in the Canyon
18年公開

この映画の案内人はボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディラン。15年にベックフィオナ・アップルらと行ったライヴ映像や、誰かの邸宅でジェイコブ、ベック、キャット・パワーレジーナ・スペクター(知らない人です)の4人で60年代後半の音楽を語るシーンを織り交ぜながら、ジェイコブがレジェンド的な人物にインタビューをして、当時の状況を明らかにしていく構成です。

キャニオンというのは、ロスアンゼルスにあるローレル・キャニオンのことで、当時、様々なミュージシャンや映画スターが集まっていた地域。近所付き合いをしながら、多くのヒット曲が生まれて来た過程が明らかにされています。ボブの息子ということでしょうか、多くのレジェンドが、初めて明かすような話を含め、当時の雰囲気を明かしてくれています。

まずはトレイラー映像をご覧下さい。


インタビューに登場したミュージシャンは、トム・ペティジャクソン・ブラウンデヴィッド・クロスビーロジャー・マッギンミッシェル・フィリップス(ザ・ママス&ザ・パパス)、エリック・クラプトングラハム・ナッシュスティーヴン・スティルスジョン・セバスチャンリンゴ・スターブライアン・ウィルソン

さらに、別途スタジオでレコーディングされサントラに収録されたのは、上記の4人に加え、フィオナ・アップルジェイド・カストリノス(知らない人です)、ノラ・ジョーンズと、現代のアーティストが60年代後半の音楽を蘇らせています。 

映画の流れに沿って、何曲かご紹介していきましょう。、ザ・バーズの誕生、ザ・ビートルズとの交流、ザ・ビーチ・ボーイズの想い出と来て、ザ・ビーチ・ボーイズの"Surfer Girl"に収録された"In My Room"をジェイコブとアップルが歌っています。
https://www.youtube.com/watch?v=s1Qyl0hRqMM

続いて、ザ・ママス&ザ・パパスのデビュー当時の状況をプロデューサーのルー・アドラーが語り、ミッシェルが当時の複雑な男女関係を赤裸々に告白。彼らのデビュー・アルバムに収録された"Go Where You Wanna Go"はミッシェルの夫のジョン・フィリップスが妻の奔放さに怒って作った曲であることが明かされます。この曲をジェイコブとカストリノスが歌うライヴ映像が流されます。


さらに、ビートルズやストーンズといったUKのバンドとお互いに影響を与え合っていたことも、様々なミュージシャンから語られます。ザ・バーズのデビュー・アルバムに収録されたピート・シーガーのカヴァー、"The Bells of Rhymney"がジョージ・ハリスン作のビートルズ・ナンバー"If I Needed Someone"に影響を与えたなんて話も出て来ます。ジェイコブとベックがライヴで披露しています。
https://www.youtube.com/watch?v=UmpunoCXnwQ

その後、バッファロー・スプリング・フィールドの凄さについて、いろんなミュージシャンが語ります。クロスビーは彼らが凄すぎて、バーズの前座に出るのをダメ出ししたなんて話も興味深かったです、

さらに、当時彼らが使った数々のスタジオの話が回想された後、ジ・アソシエーション"Never My Love"をジェイコブがスタジオではジョーンズと、ライヴではキャット・パワーとデュエットする映像が流れて来ます。
https://www.youtube.com/watch?v=XLujdHfDIL0

その後、フランク・ザッパを始めとしたローレル・キャニオンの住人たちが紹介されます。そしてバーズからクロスビ-が脱退した(された?)理由が本人の口から明かされます。そして邸宅での4人の会話でバッファローの"Expecting to Fly"がある意味、時代の区切りだったとのコメントや、スティルスがこの曲はニール・ヤングの脱退宣言だったというコメントに続いて、15年のライヴから、ジェイコブとスペクターのデュエットでこの曲が歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=POKaloe7HZ4

黒のレスポールを弾きまくっているおっさんをバックにエンド・ロールが流れて映画は終了します。


ウェスト・コースト・サウンド・ファンに限らず、全てのロック・ファン必見の映画であると思います。