発売50周年記念アルバム、今回はジョニ・ミッチェルの6枚目のスタジオ・アルバムをピックアップいたしました。アコースティック・ギター一本で歌って来た彼女ですが、前作からスタジオ・ミュージシャンをバックに歌うようになり、素朴なフォーク・サウンドから、時代の先端を行くような洗練されたサウンドへと移行していく、ターニング・ポイント的な作品でした。

 

Court And Spark / Joni Mitchell
74年発表

【収録曲】
 ① Court And Spark
 ② Help Me
 ③ Free Man in Paris
 ④ People's Parties
 ⑤ The Same Situation

 ⑥ Car on a Hill
 ⑦ Down to You
 ⑧ Just Like This Train
 ⑨ Raised on Robbery
 ⑩ Trouble Child
 ⑪ Twisted


このアルバムでは、ジャズ・ピアニストのジョー・サンプルや、この時期頭角を現して来たラリー・カールトンが参加し、ジャズやクロスオーヴァー(今で言うフュージョン)へと舵を切って来ました。

個人的には、ビートルズ以外のロック聴き始め元年でしたので、アルバム自体はかなり後追いとなりましたが、シングル・カットされた"Help Me"をラジオで聴いて、いい曲だなぁと思ったのが、リアルタイムでの記憶です。

この後、LAエクスプレスをバックに従えたライヴを発表したり、ジャコ・パストリアスが全面サポートしたり、チャールズ・ミンガスを称えるアルバムを作ったりと、他のシンガー・ソングライターとは一線を画する活動を進める彼女の端緒となった作品と言っていいでしょう。

それでは、この中から何曲かご紹介していきましょう。

まずは、上記に触れた②"Help Me"です。軽快なリズムと、清涼感のある凛としたミッチェルのヴォーカルが印象的なナンバー。USチャートでもトップ10ヒットとなっています。


"Freeman in Paris"もテンポの良いナンバーで、シングル・カットされ、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは2位にまで上がっています。サビの盛り上がりが印象的です。デヴィッド・クロスビーグラハム・ナッシュがバックグランド・コーラスで、ホセ・フェリシアーノがギターで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=xW_IS-DPZ1E
 

前述のライヴ・アルバム"Miles of Aisles"で、このアルバムから唯一選曲された④"Peoples's Parties"は、アコースティック・ギターをバックに歌われます。
https://www.youtube.com/watch?v=NktbeZiMYfA

B面トップの⑥"Car on a Hill"はリズムを強調したナンバー。曲間でフリーキーに展開するところが面白いですね。ホーンや女声コーラスをフィーチャーしゴージャスな雰囲気。
https://www.youtube.com/watch?v=P6sFSDpp7IU

アルバムから最初のシングル・カット⑨"Raised on Robbery"には、ザ・バンドのロビー・ロバートソンがギターで参加。アップテンポの元気いっぱいの曲ですが、チャート的には今一つだったようです。
https://www.youtube.com/watch?v=_y3f61DXnfU


ミッチェルの卓越したソング・ライティング力と洗練されたサウンドが見事にマッチし、ジャズ・サウンドへ傾倒していくのもむべなるかなと思わせる作品でした。

 

なお、ニール・ヤングとともに、Spotifyから撤退していたミッチェルですが、これまたヤングとともに、復帰したようです。