今月2回目のアップとなります「続・20世紀のロックアルバム」。このコーナー初登場のエルヴィス・コステロの3rdアルバムをピックアップしました。


Armed Forces 

/ Elvis Costello & The Attractions

79年発表

パンクの嵐吹き荒れる77年に、パブ・ロックを支えて来たニック・ロウのプロデュースでデビュー。2ndアルバムからは自らのバンド、ジ・アトラクションズを従え、よりパンク・ニューウェイヴを意識した作品を発表し、日本でも彼のサウンドを聴けるようになりました。その勢いを駆って発表された79年の3rdアルバムです。ややチープなサウンド感があった2ndアルバムの流れを汲みながら、音の厚みが増すとともに、コステロのソング・ライティング力を十分に見せつけた作品でした。

デビュー以来変わらぬロウのプロデュースで、エンジニアも前作と同じなのですが、なにか突き抜けた感があって、リアルタイムでパンク・ニュー・ウェイヴの成熟を感じた作品。個人的にも彼のアルバムで最も好きなアルバムですので、ここで取り上げさせていただきました。

日本では、上記のアルバム・ジャケット・デザインだったのですが、UKオリジナル盤は、日本盤の裏ジャケットとなっていた「アフリカ象が好き!」のデザインでした。


①Accidents Will Happen
オープニングの①は、なんとも懐かしさを感じる胸キュン・メロディのハード・ポップ・ナンバー。サウンドの感触も60年代を感じさせます。シングル・カットもされています。


② Senior Service
③ Oliver's Army

怒涛の冒頭3連発。抑制気味のリズムながら、サビではコステロが吠える②も曲の展開が秀逸。そして、アルバムからの最初にシングル・カットとなった③、UKチャートで2位まであがるヒットとなりました。親しみ深いポップなメロディが満喫できる曲。
https://www.youtube.com/watch?v=DF7jFWmFbTg
 

④ Big Boys
若干スローダウンしますが、テンポの良い④は、デビュー・アルバムで感じたスペクター・サウンドを思わせるサウンドが印象的。
https://www.youtube.com/watch?v=m1Ovmf8TbXE

⑤ Green Shirt
⑥ Party Girl

⑤もかなり抑制気味のナンバー。かなりミニマルな雰囲気ですが、メロディはしっかりしています。スロー・ナンバーの⑥も、サビで盛り上がる、コステロの歌を聞かせる曲です。

⑦ Goon Squad
⑧ Busy Bodies

B面トップの⑦が、当アルバムで一番変化を感じた曲。ミドル・テンポで迫る厚めのサウンドが印象的でした。コステロ節全開の⑧は、当アルバムでもかなり好きな曲。サビの胸キュン度も最高でした。
https://www.youtube.com/watch?v=q_ClR3wAQy0

⑨ Sunday's Best
⑩ Moods for Moderns
⑪ Chemistry Class
⑫ Two Little Hitlers

ワルツのリズムの⑨でもコステロを勢いは止まらず。R&B調のリズムでズンズン突き進む⑩の勢いも素晴らしい。バラード調の⑪ではコステロの歌心を感じさせます。ラスト・アンバーの⑫は、ミドル・テンポのポップなナンバー。パブロック風のナンバーで締めるところがイキです。
https://www.youtube.com/watch?v=1trgIWENOdQ


パンクの嵐が少し変わり始めた空気を感じた、聴けるアルバムの登場でした。