日本でコロナが流行る前の20年2月以来のライヴでした。70年代においてロック・スターの象徴のような存在だったロッド・スチュワートがこの度、1回のみの来日公演のため来日。ちょうど東京出張とタイミングが合いましたので、行って来ました。

 


Rod Stewart @有明
2024年3月20日(休)
有明アリーナ


チケット買うのが遅かったため、4階席からの観戦で、スピーカーのためにステージ・バックの大画面が一部見えない席でしたが、十分に楽しめるライヴでした。
79歳のスチュワートでしたが、年齢を感じさせない、ヴォーカルとパフォーマンスに圧倒されました。

セットリストはこちらをご参照下さい。
https://www.setlist.fm/setlist/rod-stewart/2024/ariake-arena-tokyo-japan-7baa266c.html

オープニングが84年の"Camouflage"収録の"Infatuation"だったので、ちょっとビックリ。その後に、フェイシズの"Ooh La La"を持ってくるという、かなり予想外の選曲でした。"Great Rock Classics"で取り上げたボニー・タイラーの"It's a Heartache"やCCRの"Have You ever Seen the Rain"なんかも披露して、ほぼオールタイムのレパートリーからの選曲でした。

ちょっとウルッと来たのは、クリスティン・マックヴィの映像が映し出され、彼女を追悼するとともに、彼女もスチュワートもカヴァーした、エタ・ジェイムスの"I'd Rather Go Blind"を歌った時でした。

後半では、シンギング・タイムだ!と言ってアコースティック・セットをバックに、"I Don't Want to Talk about It""You're in My Heart"をコール&リスポンスを織り込みながら披露する等、ステージ運びの巧さを随所に感じました。

バックは、ギター2本に、ベース、ドラムス、キーボード、サックスに加え、パーカッションを男女1名ずつ配置。女性パーカッショニストはハープも弾いてました。さらに、フィドルやマンドリン等の弦楽担当の女性2人、加えて、3人の女性コーラスを従えた、総勢14人の大所帯。スチュワートの衣装替えが2回あったのですが、その間、その女性コーラスがラベルの"Lady Mamalade"等を披露して、個人的にはこれがかなり盛り上がりました。その他、各メンバーの見せどころも用意しており、エンターテインメントとして、十二分に練られた構成でした。

さらに、ステージ・バックと両脇の映像が、これまた良く創られていたことも、最近のライヴは凄いなぁと感心した次第。近年の大規模会場のライヴでは映像がセットになっているのですが、アーティストを大写しする程度だったと思います。ところが、今回は、あらかじめ曲に合わせて創ってあったグラフィックに、ナマの映像を合成して、その場でPVを創っているような感じで驚きました。この辺りのスチュワートの徹底した、エンターテイナー魂を感じました。

本編ラストは"Do Ya Think I'm Sexy?"。そして、アンコールは"Sailing"でスタート。この曲をナマで聴け、また一つ冥土の土産ができたと思うほど感動しました。そして、ラストは74年の"Smiler"収録のチャック・ベリー・ナンバー、"Sweet Little Rock & Roller"で、ロックンロール大会で締め。素晴らしい2時間10分でした。

貼り付けはしませんが、YouTubeでは、既にこのライヴの模様をアップしている不届き者がいるようですので、興味のある方は検索してご覧下さい。こちらでは7年前にアップされたロイヤル・アルバート・ホールでの”Sailing"ライヴ映像をアップさせていただきます。



正直、スチュワートに関しては、第1期ジェフ・ベック・グループやフェイシズのヴォーカリストとして、凄いシンガーだと思ってましたが、USに渡った後のソロ活動のスーパースター然とした雰囲気が、何ともいけ好かない野郎とリアルタイムでは思ってました。グレイト・ソング・シリーズを過ぎた10年代のソロ作品は、結構気に入っておりましたが、それほど思い入れの深いシンガーではありませんでした。

しかし、今回、この徹底したエンターテイナーぶりと、年齢を感じさせないパフォーマンスに、彼の偉大さを改めて感じさせてくれたライヴでした。