50周年を記念した74年発表アルバムの第3弾は、エドガー・ウィンター・グループ(EWG)の2作目のアルバムをピックアップいたしました。当時の日本の洋楽マーケットでは、アルバムでも、シングルでも、今よりは邦題がつく作品が多かったです。しかも、アルバム・ジャケットの雰囲気からつけられるものも、それなりにあったように思います。そんな中でエマーソン・レイク&パーマーの「恐怖の頭脳改革」に続いて、彼らのアルバムにも「恐怖」の邦題がつけられました。

 

Shock Treatment / Edgar Winter Group
74年発表

ジョニー・ウィンターを兄に持つエドガー・ウィンターが、兄のアルバムに参加後、70年にソロ・アーティストとしてデビュー。72年にはEWG名義で初のアルバムを発表。結成時には、後にハードロック・バンド、モントローズを結成するロニー・モントローズも参加していました。このアルバムに収録されたインストゥルメンタル・ナンバー、"Frankenstein"モントローズは全米No.1を獲得しています。

脱退後、リック・デリンジャーが参加して発表したEWGの2ndアルバムです。デリンジャーは曲作りには関与していなく、ベースのダン・ハートマンの作によるものが、11曲中7曲。ウィンター作は3曲で、ウィンターとハートマンの共作が1曲といった編成。ノリの良い、典型的なアメリカン・ハード・ロック・ナンバーが楽しめる作品です。

セールス的には前作に及びませんでしたが、アルバム・チャートの13位まで上がり、ゴールド・ディスクを獲得しています。個人的にはリアルタイムで聞くことのなかった作品でしたが、このジャケットは印象的でした。邦題は「恐怖のショック療法」

【収録曲】
 ① Some Kinda Animal
 ② Easy Street
 ③ Sundown
 ④ Miracle of Love
 ⑤ Do Like Me

 ⑥ Rock & Roll Woman
 ⑦ Someone Take My Heart Away
 ⑧ Queen of My Dreams
 ⑨ Maybe Someday You'll Call My Name
 ⑩ River's Risin'
 ⑪ Animal


この中から何曲かご紹介して参りましょう。まずはオープニングの①"Some Kinda Animal"。ノリの良いロック・ナンバー。随所に散りばめられたデリンジャーのギターのリフがサウンドを盛り上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=B5yPvIEU8Tk

静かなバラード調からハード・ポップへと転移していく③"Sundown"は、当アルバムの中でも最も親しみの持てるメロディが印象的です。アメリカン・ハードの真骨頂といった感じがします。
https://www.youtube.com/watch?v=yGQpmOmaRRs

B面トップに収録された⑥"Rock & Roll Woman"も、この時期の典型的なアメリカン・ロックといった感じのノリの良いナンバー。
https://www.youtube.com/watch?v=KgoAHlF3QpY

個人的にはベスト・トラックと思っている⑧"Queen of My Dreams"は、レッド・ツェッペリンにも迫るヘヴィーでハードなナンバー。歌詞の合間に挟まれるリフもめちゃ格好いいです。デリンジャーがギターを弾きまくっています。


"Maybe Someday You'll Call My Name"はウェスト・コースト・サウンドにも通ずる爽やかでメロディアスなナンバー。ちょっと胸キュンな雰囲気も、このハードなサウンドの中にあるとほっこりします。
https://www.youtube.com/watch?v=esj5EuBEmuA


この時代、それほど騒がれた作品ではありませんでしたが、今聴くと、ご機嫌なロック・サウンドを楽しませてくれる作品だったのだなぁと思います。