スティーヴ・ウィンウッドとデイヴ・メイソンが在籍した初期のトラフィック。第2回目の今回は、68~69年の彼らの軌跡を追ってみたいと思います。
サイケなサウンドが印象的だったデビュー・アルバムに続いて、68年に発表された2ndアルバム。なんと、2ndにして、セルフ・タイトルのアルバムとなりました。ザ・バンドよりも先だったんですね。こちらではサイケな雰囲気は全く拭い去っており、そういう意味で本来の自分たちの姿を表しているという主張が感じられます。
Traffic
68年発表
【収録曲】
① You Can All Join In
② Pearly Queen
③ Don't Be Sad
④ Who Knows What Tomorrow May Bring
⑤ Feelin' Alright
⑥ Vagabond Virgin
⑦ (Roamin' thro' the Gloamin with) 40,000 Headmen
⑧ Cryin' to Be Heard
⑨ No Tiome to Live
⑩ Means to an End
まずはA面2曲目に収録された②"Pearly Queen"。ブルージーでダルな雰囲気のナンバーは、ウィンウッドとジム・キャパルディの作によるもの。メイソンはハーモニカで参加ということなので、合間に聞こえるギター・ソロはウィンウッドによるもののようです。
https://www.youtube.com/watch?v=lvMZ-0RTgeg
彼らのというよりは、メイソンの代表曲として知られる⑤"Feelin' Alright"がA面のラストに収録されています。もちろん、メイソンがリード・ヴォーカルをとっています。シングル・カットもされており、ジョー・コッカーはじめ、多くのアーティストにカヴァーされているようです。
アルバムのラストに収録された⑩"Means to an End"もウィンウッドとキャパルディの共作。こちらではほとんどの楽器をウインウッドが担当しており、メイソンは参加していません。このアルバムの録音時点で、この後の動きを示す予兆が現れていたんですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WiVUEA7Mgbo
アルバム・セールスは前作を上回ることができたのですが、方向性の違いからメイソンがアルバム発表後に脱退。68年のツアーはメイソン抜きの3人で強行しました。さらに、69年には、ウィンウッドがエリック・クラプトンらとブラインド・フェイスを結成することとなり、バンドは解散してしまいます。
バンド解散後の69年に発表された3rdアルバムは、アルバム未収録曲等をA面に、ライヴ音源をB面に収録した変則的なものになりました。
Last Exit / Traffic
69年発表
【収録曲】
① Just for You
② Shanghai Noodle Factory
③ Something's Got a Hold of My Love
④ Withering Tree
⑤ Medicated Goo
⑥ Feelin' Good
⑦ Blind Man
①は1stアルバム発表後にリリースされたメイソンのソロ・シングル。④は"Feelin' Alright"のシングルのB面に収録されたウィンウッドとキャパルディの作。③は未発表のインストゥルメンタル・ナンバー。②と⑤は2ndアルバムの後に発表されたシングルで、⑤"Medicated Good"がA面でした。これがまた、格好いい曲で印象に残ります。お聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=8xAf-vKG_KE
B面はフィルモア・ウェストでのライヴが2曲収録されています。⑥は60年代中頃のミュージカルのナンバー。⑦"Blind Man"はチェス・レコードから65年に発表されたボビー・ブランドがオリジナルのブルーズ・ナンバー。クリス・ウッドのサクソフォーンが全面的にフィーチャーされています。
https://www.youtube.com/watch?v=pEy7LWGeTIc
ということで、第1期トラフィックはこのような形で空中分解してしまいますが、メイソンを除く3人の絆は、かなり強かったようです。