私が小学校高学年から中学の頃、NHKで「ステージ101」という番組がありました。若いお兄さんお姉さんたちが、当時流行っていたフォーク・ソングや洋楽ナンバーを、歌って踊って紹介してくれた番組でした。当時の歌番組に出て来る、歌手やアイドルとは違った普通の雰囲気の人達が、これまた当時の歌番組で歌われる曲とは違った感じの曲をいろいろと紹介してくれてました。今でいう、オルタナと言っても過言でない感じの番組でした。

当時のガキにとって、新しい最先端の音楽が聴ける番組ということで、楽しく観ておりました。この番組のレギュラー・メンバーとして、20~30人の男女によるグループをヤング101と呼んで、みんなで歌ったり、メンバーがソロで、または数人のグループで歌ったりといった感じでした。

このメンバーの中には、後にブレイクした田中星児太田裕美もいたそうですが、当時の印象は全く残っていません。当時は、杉田二郎とジローズ(「戦争を知らない子供たち」でお馴染み)を組んでいた塩見大治郎がリーダー的存在でした。

個人的には、若子内悦郎河内弘明によるデュオ、ワカとヒロが格好いいなぁと思っておりました。イングランド・ダン&ジョン・フォード(「秋風の恋」がUSでもヒット)の「シーモンの涙」という日本でのみヒットした曲も、彼らが歌っていることで知りました。オリジナルの方がYouTubeにありましたので、お聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=bTDpA2Xyopk

この番組ではヤング101のオリジナル曲も披露されており、「涙をこえて」「怪獣のバラード」はそれなりに知られていたと思います。特に前者は、学校の合唱コンクールでも歌われるような曲で、私も大好きな曲です。ワカとヒロも番組とは別に、レコード・デビューもしていたようです。なお、ヒロの方は後に芹沢廣明の名義で「少女A」やチェッカーズの曲の作曲で知られるようになります。

ウィキペディアで調べましたら70年1月10日から74年3月31日まで放映されていたようです。放送時間は以下の通りです。
 70年1月10日~71年4月3日 土曜日20:00~21:00
 71年4月7日~72年3月29日 水曜日20:00~20:45
 72年4月9日~73年4月1日  日曜日19:20~20:00
 73年4月8日~74年3月31日 日曜日18:00~18:40
私の記憶でも日曜日の夜にやっていた印象が強いです。


さて、前置きが長くなりました。そんな彼らの音源が、ソニー・ミュージック・ショップ限定で発売されているのをレココレ誌の広告で知りゲットしました。過去にもコンピレーションが発表されているようなのですが、今回は洋楽カバーのみを集めた作品でした。

 

ステージ101 ポップスを歌う/ヤング101
23年発表

NHKアーカイブからの発掘音源の初CD化とのことです。収録曲を邦題でご紹介して参ります。(  )内はオリジナルを歌ったアーティストです。

【収録曲】 
 ① セイブ・ザ・カントリー
(The Fifth Dimesion)
 ② 陽気なキャンディ・マン (Sammy Davis Jr.)
 ③ グッバイ・イエロー・ブリック・ロード (Elton John)
 ④ グッバイ・ジェーン (Slade)
 ⑤ だから君が好き (Slade)
 ⑥ 河を渡るな (America)
 ⑦ 灰色の朝 (Bread)
 ⑧ 対自核 (Uriah Heep)
 ⑨ 安息の日々 (Uriah Heep)
 ⑩ 自由になりたい (Chicago)
 ⑪ ブラック・ナイト (Deep Purple)
 ⑫ ホエン・アイム・シックスティ・フォー (The Beatles)
 ⑬ ロング・アンド・ワイディング・ロード (The Beatles)
 ⑭ ビー・バップ・ア・ルーラ (Gene Vincent)
 ⑮ ミュージック・ミュージック・ミュージック (Teresa Brewer)
 ⑯ ピープル (Barbra Streisand)
 ⑰ コットン・フィールズ (Creedence Clearwater Revival)
 ⑱ オーラ・リー (American traditional)
 ⑲ 流浪の民 (Robert Schumann作)
 ⑳ 禁じられた遊び (Narciso Garcia Yepes)
 ㉑ ツァラトゥストラはかく語りき (Richard Georg Strauss)
 ㉒ モア(世界残酷物語のテーマ) (Danny Williams)
 ㉓ さくらんぼの実る頃 (French traditional)
 (24) アンド・アイ・ラヴ・ユー・ソー (Perry Como)
 (25) オー・ハッピー・デイ (Edwin Hawkins Singers)
 
原詩のまま歌っている曲もあれば、日本語訳で歌われた曲もあります。ユーライア・ヒープの⑧(原題"Look at Yourself")が日本語になっており、ちょっと締まりません。スレイドの④は、スレイドのベスト・アルバムでオリジナルを聴いた時、なんか聴いたことがあるなぁと思ったのですが、もしかしたらこちらのヴァージョンを先に聴いていたのかも知れません。

エルトン・ジョン、ディープ・パープル、ザ・ビートルズ、シカゴ、CCRの有名曲も取り上げられており、この番組で聴いた記憶はほとんどないのですが、潜在的に刷り込まれていたのかも知れません。映画音楽も取り上げられており、当時の日本の洋楽事情を反映した選曲になっていますね。

YouTubeにほとんど映像がなかったのですが、最終回の最初と最後をピックアップした映像がありましたので、最後にこの番組の雰囲気を味わって下さい。