ボブ・ディランの全曲訳詞に挑戦中、「ディラン日記」のコーナー。ブートレッグ・シリーズ第1集を完了し、今回から第2集に入ります。引き続き、3rdアルバム"The Times They Are A-Chanigin'"のアウトテイクです。

 

Seven Curses
"The Bootleg Series Volumes 1-3 (Rare & Unreleased) 1961-1991"(1991)収録

クレジットはディランになっていますが、かなり古いフォーク・ソングを基にしています。元歌は"The Maid Freed from the Gallows"と言う曲で、19世紀初頭に採譜され出版されています。古くはレッドベリーが取り上げているようですし、レッド・ツェッペリンの3rdアルバムに収録された"Gallows Pole"も、この曲を元にしているのだそうです。

古い曲なので様々な歌詞のパターンがあるようですが、ディランは受刑者を老人にし、その娘が助けに来るという、元歌とは逆のパターンで物語っていきます。歌詞はストーリーになっており、前後の関係がわかりやすいので、長めの歌詞ではありますが、ディランの曲にしては、比較的訳しやすかったです。

曲の方はアルペジオによるギターに弾き語り。郷愁を誘うようなメロディを淡々と歌っています。

まずはディランのHPで歌詞を確認下さい。HPでは7つの呪いは全て"will not"と記載されてますが、このヴァージョンでは"can not"と歌っているので後者で訳しました。
https://www.bobdylan.com/songs/seven-curses/

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年寄りライリーは種馬を盗んだ
だがヤツらが彼を捕まえ 連れ戻した
そして牢屋の床に寝かしつけた
首に鉄の鎖をつけて

年寄りライリーの娘は伝言を受け取った
父さんが首つりにされると
娘は夜通し走って 朝までに着いた
手に金銀を持って

裁判官がライリーの娘を見た時
彼の老眼は頭の中に沈んだ
こう言いながら「金ではあんたの父は自由にならない
かわいい子 代償はあんただ」

「ああ オレは死んだ方がいい」ライリーは叫んだ
「ヤツが欲しがっているのはおまえだけだ
 ヤツがおまえに触ろうもんなら オレの肌は本当に虫唾が走る
 おまえの馬に乗って逃げるんだ」

「ああ父さん 本当に死んじゃうよ
 このチャンスをつかまないと
 代償を払って あんたのアドバイスを聞かない
 そのために私はここにいなきゃいけないの」

絞首台の影が夜を震わせた
猟犬が吠えた夜に
地面が呻いていた夜に
代償が払われた夜に

次の朝 彼女は目覚めた
裁判官が何も言わなかったことを知った
曲がった枝がぶら下がっているのを見た
彼女の父の体が壊れているのを見た

これらはとっても残酷な裁判官にかけれらた7つの呪い
1つ 医者は彼を助けることができない
2つ 治癒師は彼を癒すことができない
3つ 目は彼を見ることができない
4つ 耳は彼の言うことを聞けない
5つ 壁は彼を隠せない
6つ 穴掘りは彼を埋められない
7つ 死は彼を殺せない
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それでは曲をお聴き下さい。