今年も「ディスカヴァー・ストーンズ」のコーナー、できる限り進めて行きたいと思います。ちょうど、年越ししたことで、フェイズが変わります。いよいよ、彼ら自身のレーベル、ローリング・ストーン・レコードから、初のレコードを発表します。

71年4月23日に、英米同時発売、収録曲も全く同じといった形で世に出ました。そして、今や彼らのシンボルとも言えるベロマークも、このレーベルのロゴとして世に出た時期でもありました。

UKS-16 Browm Sugar / Bitch / Let It Rock
USS-21 Browm Sugar / Bitch

 

まずはアルバムに先行して発表されたシングルからご紹介。アルバムのオープニング・ナンバー"Brown Sugar"。全米No.1を獲得し70年代の彼らの代表曲の1つ。イントロのギラーのカッティングや、ミック・ジャガーのパワフルなヴォーカルは、新たな時代での存在感を示す彼らのやる気を感じさせるナンバーでした。


そのB面に収録されたのは、アルバムのB面トップに収録された、これまたリフが格好いいロック・ナンバー。シングルA面に持って来てもおかしくない、アップテンッポでキャッチーな曲です。こちらもライヴ映像でどうぞ。"Bitch"です。
https://www.youtube.com/watch?v=3N0A2b7nbdM


さらにUKのシングルのB面には、チャック・ベリー"Let It Rock"をカヴァーした、リーズでのライヴ音源が収録されていたようです。15年に再発されたアルバムのデラックス盤に収録されているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=_uJIKxglBvo

 


UKL-13、USL-16 Sticky Fingers

 

新しいレーベルを作り、ミック・テイラーが全面参加となった新生ストーンズの狼煙を上げるかのような、痛快なアルバムでした。前スタジオ・アルバムの"Let It Bleed"と同様、ジミー・ミラーのプロデュース。エンジニアにはグリン・ジョーンズ、アルバム・カヴァーのデザインはアンディ・ウォーホールと、周りのスタッフも充実しています。

支えるミュージシャンも、ピアノのイアン・スチュワートはもちろんのこと、管楽器にボビー・キーズジム・プライスが参加。その他、特定の曲だけですが、ニッキー・ホプキンスライ・クーダー(懲りないねぇ)、ジャック・ニッチェビリー・プレストンらが参加しています。

まずはA面の5曲です。
① Brown Sugar
Sway
Wild Horses
Can't You Hear Me Knocking
You Gotta Move


ミドルテンポのスワンプ感覚満載の②は、地味ながらこのアルバムの性格を決定づける曲ではないかと思います。テイラーのギター・ソロもサウンドに馴染んでます。③は主にキース・リチャードの作によるもので、同時期にグラム・パーソンズ率いるフライング・ブリトー・ブラザーズにも提供されています。イントロのギター・リフが印象的な④。R&Bの影響も感じるパワフルなナンバー。40年代から歌われていたというゴスペル・ナンバーの⑤は、65年のミシシッピ・フレッド・マクドウェルにより知られるようになったナンバーで、ストーンズもこのヴァージョンを元にしているようです。

それではこの中から、⑤"You Gotta Move"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=Qb-K8a4kBAQ

⑥ Bitch
I Got the Blues
Sister Morphine
Dead Flowers
Moonlight Mile


⑦もホーンが導入され、R&Bテイストに溢れるソウル・バラード。ミック・ジャガーのヴォーカルが心に沁みます。マリアンヌ・フェイスフルのために書かれた曲だそうですが、モルフィネと言う言葉が引っ掛かったのか発売禁止となり、こちらで初めて陽の目を見ました。アコースティック・ブルーズといった雰囲気のスローで妖しげナンバー。雰囲気が一転して、明るいカントリー・ロック調の⑨が流れて来ます。土の匂いがしてくる曲です。ラストの⑩は、ゆったりとしたバラード・ナンバー。東洋風のニュアンスが感じられ、ドラマテイックな雰囲気でアルバムは幕を閉じます。

ここからは、⑨"Dead Flowers"のライヴ映像をご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=RS_yyRk_dj8


USS-22 Wild Horses / Sway

 

さらにUSでは、アルバム発表後の2か月後の71年6月に③と②カップリングしたシングルを発表しています。チャート的には28位どまりだったようですが、この時期ストーンズには欠かせないナンバーだと思います。最後にお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=lJD2OtTaywo

英米で異なるアルバムを発表してきた彼らでしたが、このアルバムで初の英米のチャートとでNo.1を獲得することができました。70年代の快進撃の狼煙となりました。