年初にテン・イヤーズ・アフターのアルバムを「ッ!ンタ聴いかったの?」シリーズ第1弾としてご紹介しましたが、早くも3月に入ってしまいました。本日は、このEAKMaKiN(イークマッキン)第2弾をお届けします。今回もブルーズ・ロック系、ザ・バターフィールド・ブルーズ・バンドの登場です。

 

East-West 

/ The Butterfield Blues Band

66年発表

63年にシカゴで結成された白人ブルーズ・ロック・バンド。65年7月のニューポート・フォーク・フェスティヴァルに出演した翌日、ボブ・ディランのバックバンドとして再登場し、エレクトリック・ディランの端緒に関わったようです。同年10月にデビュー・アルバムを発表。そして66年8月には、彼らの最高傑作と言われるこの作品を発表しています。同年5月にはザ・ビーチ・ボイーズが"Pet Sounds"を、同じ8月にはザ・ビートルズが"Revolver"を発表。そんな時代に発表され、「♪朝起きたら」連発のコテコテのブルーズを世に示しました。

【収録曲】
 ① Walkin' Blues
 ② Get Out of My Life, Woman
 ③ I Got a Mind to Give Up Living
 ④ All These Blues
 ⑤ Work Song
 ⑥ Mary, Mary
 ⑦ Two Trains Running
 ⑧ Never Say No
 ⑨ East-West


【パーソネル】
 ポール・バターフィールド
:ヴォーカル、ハーモニカ
 マイク・ブルームフィールド:ギター
 エルヴィン・ビショップ:ギター、ヴォーカル(⑧)
 ジェローム・アーノルド:ベース
 ビリー・ダヴェンポート:ドラムス
 マーク・ナフタリン:ピアノ、オルガン

ブルームフィールド作の⑨と、デビューしたばかりのモンキーズのマイク・ネスミス作の⑥を除いては、全てトラディショナル、ブルーズ、ジャズの過去の作品。それでも、特にブルームフィールドのエレクトリック・ギターにより、新たな命を吹き込められたような勢いのあるサウンドです。

何曲かご紹介して行きましょう。
①の"Walkin' Blues"は、悪魔に魂を売り渡しテクニックを得たと言われる伝説のブルーズ・マン、ロバート・ジョンソンのナンバー。バターフィールドのハーモニカもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5Xd_7OsCs7Q

②の"Get Out of My Life, Woman"はニュー・オーリンズの顔役、アラン・トゥーサン作で、65年にリー・ドーシーが発表した曲。どこかでバターフィールド・ヴァージョンを聞いた記憶があるのですが、どこだったか忘れました。
https://www.youtube.com/watch?v=NosKY02gyaY

A面ラストに収録された⑤"Work Song"は、キャノンボール・アダレイの弟、ナット・アダレイの最も有名なジャズ・ナンバー。日本では尾藤イサオやタモリがカヴァーしているそうです。このメロディは知られていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=cF6fCzEZ3Hs

B面トップの⑥"Mary, Mary"は、前述の通り、ネスミス作の曲。少しヒットも狙った気もあったようで、彼らにしてはポップな感じですが、時代の雰囲気を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=fxpuE-yMtZc

そしてラスト・ナンバーのアルバム・タイトル曲、⑨"East-West"は13分を超える大作インストゥルメンタル・ナンバー。ラーガ・ロック風な旋律も飛び出し、トリップ感十分なナンバーです。



その後、ソロ・アーティストとしても活躍するブルームフィールドとビショップを擁した最強面子によるブルーズ・ロック史に残る作品であると思います。