カナダ人っていうのは物持ちの良い人が多いのが、初期の頃からの音源をしっかりと残しているようですね。ニール・ヤング御大のアーカイヴ・シリーズは良く知られていますが、なんと、ジョニ・ミッチェルまでもが、昨年、初のアーカイヴを発表しました。
Joni Mitchell Archives - Vol.1:The Early Years (1963-1967)
20年発表
ヴォリューム1となってますので、今後も引き続きリリースされるものと思われます。今回はデビュー前の音源を5枚のCDに収録しています。1万円近くしたもんですから、購入を迷っておりましたら、なんとSportifyで全曲聴くことができました。
膨大な曲数になりますので、今回は、各曲の紹介を省略させていただきます。詳しくはウィキペディアで確認願います。
ジョニ・ミッチェル・アーカイヴズ Vol.1(ウィキペディア)
【ディスク1】
まず、ディスク1は63年から65年にかけての録音。デビュー前のジョニの瑞々しい歌声が印象的です。
・サスカトューンのCFQCラジオ局(63年)
・トロントのザ・ハーフ・ビート(64年10月21日)
・サスカトューンの両親の家(65年2月)
この頃はフォーク・シンガーとして、トラディショナルやウディ・ガスリーの曲などを歌っていたようです。当時はまだ結婚前だったので、ライヴでの冒頭、「ジョニ・アンダーソン」と紹介されています。トロントのライヴハウスでの録音から、トラディショナル・ナンバー、"Nancy Whiskey"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=4BlV0pqmAhQ
【ディスク2】
65年4月にアメリカに渡ったジョニは、アメリカ人のフォーク・シンガーと結婚し、一緒に活動を始めます。ここから姓がミッチェルとなります。この時期はデトロイトで活動をしていたようです。
・母親マートル・アンダーソンへの誕生祝いテープ(65年)
・デトロイトでのジャック・ホルツマンのデモ(65年8月24日)
・ウィニペグのマニトバ大学でのTV番組用ライヴ(65年10月4日)
・デトロイトでの自宅デモ(66年)
・オンタリオ州ロンドンのローレンティン大学でのTV番組用ライヴ(65年10月24日)
・フィラデルフィアのザ・セカント・フレット(66年11月)
ほとんどが自作曲となっていますが、正式デビュー後に発表された曲はほとんどありません。しかしながら、フィラデルフィアでは"The Circle Game"が既に演奏されています。また、デビュー・アルバムに収録された"Night in the City"も、ロンドンとフィラデルフィアで演奏されていますので、ここではこちらをお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=bzlq7oOXrwo
【ディスク3】
67年初頭に離婚したジョニは、ニューヨークへ移り、ソロ・シンガーとして活動を続けます。フィラデルフィア、ボストン、ノースカロライナ州など、東海岸を中心に精力的に演奏活動を行いました。
・フィラデルフィアのFMラジオ局(67年3月12日)
・フィラデルフィアのザ・セカット・フレット(67年3月17日)
・フィラデルフィアのFMラジオ局(67年3月19日)
・マイケルへの誕生祝いテープ(67年5月)
・フィラデルフィアのFMラジオ局(67年5月28日)
マイケルというのが誰のことだかはわかりません。"The Circle Game"に続き、"Both Sides Now"も既に演奏されていました。彼女を代表する2曲は、既にデビュー前にできていたということですね。さらに5月のフィラデルフィアのラジオ局では、なんと、ニール・ヤングの"Sugar Mountain"が収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=cA9G7z323O4
【ディスク4】
引き続き、67年の録音が収録されています。この時期は、"Both Sides Now"をジュディ・コリンズに提供しており、ソングライターとしてのジョニの存在も広く知られるようになった時期であると思います。
・ニューヨークでの自宅デモ(67年6月)
・ミシガン州アナーバーのカンタベリー・ハウス:1stセット(67年10月27日)
デビュー後のアルバムに収録された曲や、他のアーティストに提供された曲が並んでいます。ジョニ独特の世界も既に確立されているようです。ここでは2ndアルバム"Clouds"に収録された"Chelsea Morning"をお聴き下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=YmaAlAxwl-8
【ディスク5】
最後のディスクはディスク4の後半に引き続き、アナーバーでのライヴ。1日3回もステージに立っていたということですね。
・ミシガン州アナーバーのカンタベリー・ハウス:2ndセット(67年10月27日)
・同:3rdセット
ここでも、パフィ・セントメリー、ジュディ・コリンズ、トム・ラッシュらに提供された曲が多く並んでいます。なお、このアナーバーでのライヴは3枚組LPとしてビニールのみで発売されているそうです。
それでは最後にこのライヴから"Both Sides Now"をお聴き下さい。
巣ごもりGWにもってこいの、てんこ盛り音源でした。