現代に蘇るグラム・ロックとも、フレディ・マーキュリーをヴォーカルに迎えたフェイシズとも捉えられ、この時代において、クラシック・ロック・ファンの心を鷲掴みするUKバンド、ザ・ストラッツが、3rdアルバムを発表しました。

 

Strange Days / The Struts
20年発表

UKはダービー出身の4人組みバンド。14年に本国でデビューし、本国ではそこそこの評価を得ます。15年に活動拠点をロスアンゼルスに移し、16年にデビュー・アルバムを再リリースします。その後、大物バンドの前座などで、ライヴ・パフォーマンスの評価を高めて行きます。16年の夏には、サマソニにも参戦してくれ、個人的には、その時知ったバンドです。

18年には2ndアルバムを発表して、順調に活動を展開しており、今年も、コロナ禍に負けず、新作を発表してくれました。今回は、プロデュースにアヴリル・ラヴィーンやセレーナ・ゴメズの曲も手がけてたことのある、ジョン・レヴィンを迎え、曲によっては有名アーティストをフィーチャリングしたりと、さらなる飛躍を求めた、制作的にも積極性を感じるものとなっております。

これまで、ギターをメインとしたハード・ポップ風のロック・ナンバーで、グイグイ攻めて来てましたが、今回のアルバムは、ピアノも随所に聞かれ、ヴァラエティに富んだサウンドを聴かせてくれ、着実に成長していることを伺わせる作品でした。

① Strange Days
オープニングは、アルバム・タイトル曲。いきなり、ピアノをバックにルーク・スピラーが、しっとりと歌い上げるバラード・ナンバーが飛び出してきて、ちょっと何が起こったのかとサプライズを与える曲でした。元テイク・ザットのロビー・ウィリアムズがフィーチャーされています。


② All Dressed Up (With Nowhere to Go)
2曲目で早くもいつもの彼らに出会うことができます。ミドルテンポのロック・ナンバー。サビなんかはシンガロングもできそうですね。


③ Do You Love Me
④ I Hate How Much I Want You
⑤ Wild Child
⑥ Cool

タイトルを見てピンと来た方も多いと思いますが、③はキッスのカヴァー。"Destroyer"収録曲ですね。④では、デフ・レパードのフィル・コリンジェフ・エリオットが参加し、ハードなサウンドを聴かせます。さらに⑤では、元レイジ・アゲインスト・マシーンのトム・モレノが参加し、さらに硬質なハード・サウンドを展開して来ます。テンポの良いロックンロール・ナンバーの⑥は、弾けるようなギター・サウンドが心地よいです。


⑦ Burn It Down
⑧ Another Hit of Showmanship

ピアノも導入された⑦は、なんとなくスワンプの香りもするスケールの大きいナンバー。一転して⑧は、軽かなポップ・ナンバーで、前曲との振れ幅が大きく、個人的にはこの流れ気に入っています。ザ・ストロークスのアルバート・ハモンド・ジュニアが参加しています。


⑨ Can't Sleep
さらにサウンドの揺れ幅は大きくなり、⑨ではモータウン風の裏打ちリズムが登場してきます。サビではハードなサウンドになってくるところ、彼らの成長を感じます。


⑩ Am I Talking to the Champagne (Or Talking to You)
ラストでまたまた、彼ららしくないマイナー調のナンバーが登場して来ますが、堂々とした貫禄を感じさせる曲で、間奏では泣きのギターも流れ、只者ではない感を醸しています。


時代が時代だけに、爆発的な人気を得るには至っていませんが、現代に70~80年代のロック・テイストを蘇らせているバンドであり、今後、大ブレイクを期待したいバンド。この新作では、その思いをさらに強くすることができました。