「20世紀のロック・アルバム」シーズン2、なかなかアップが進まないですが、忘れてはおりません。むしろ、今回のこのアルバム、早くアップしたかったのですが、いろいろ、コンピのシリーズ特集が続いていたもので、やや間が空いてしまいました。
 
今回はシーズン2初のパンク・バンドの登場です。ニューヨーク・パンクの代表的存在、テレヴィジョンのデビュー・アルバムをピックアップいたしました。
 
Marquee Moon / Television
77年発表
 
70年代のニューヨーク・パンクの最高傑作であると思います。激しさ、妖しさ、切迫感、あらゆる点でマックスのレベルにあるサウンド。このアルバムは本当に良く聴きましたし、捨て曲なしの最高の例ではないかと思っております。
 
73年に結成され、74年にはライヴ活動を開始。ニューヨーク・パンクの中でも、かなり早い時期から活動を始めておりましたが、パティ・スミス、ラモーンズが先にデビューしていき、このデビュー・アルバムが発表されたのは、77年になっておりました。
 
リーダーでギターとヴォーカルを担当するトム・ヴァーラインは、ドアーズが所属したエレクトラ・レコードの契約に拘ったそうで、そんなことから、メジャー・デビューが送れたのかも知れません。
 
① See No Evil
② Venus

歯切れの良いリズムギターで始まるイントロに、絡みつくようなギターのリフが印象的なオープニング・ナンバーの①。不安定なヴァーラインのヴォーカルがスリリングな雰囲気を増幅させます。②は、個人的には彼らの代表作と思っている名曲。本当に良くできた曲で、女性の名前をタイトルにした3大パンク・ソングの一角を占めております。

 

③ Friction
イントロの下降旋律が印象的な③は、不安定な切迫感を前面に押し出した彼らならではのナンバー。この曲から取られたかどうかわかりませんが、タイトルと同じ名前の日本のパンク・バンドもありました。
https://www.youtube.com/watch?v=vkXDUMQ6nLM
 
④ Marquee Moon
そして、アルバム・タイトル曲の④。11分近くに及ぶ長尺ソング。淡々と、そして延々と流れるギターのカッティングが実に印象的。サビで各楽器とヴァーラインのヴォーカルが絡み合うところも、最高に緊張感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=g4myghLPLZc
 
⑤ Elavation
⑥ Guiding Light
⑦ Prove It

ここからB面に入ります。マイナー調の⑤全体的に物悲しいトーンに覆われています。ギターの旋律もちょっと演歌風。暗闇の中に一筋の光が差してくるような情景を思わせる美しい⑥は、アルバムの中の清涼剤。ポップなメロディが印象的な⑦も、アンサンブルとヴォーカルがいい感じで絡み合っています。
 
⑧ Torn Curtain
アルバム・ラストは7分を超える大作。マイナー調の悲し気なメロディと演奏が曲を覆っています。そんなサウンドを切り裂くようなヴァーラインのヴォーカルに鬼気迫るものを感じる、重厚なナンバーです。

結局2枚のアルバムを発表した後、78年に解散してしまい、短命に終わってしまいましたが(後に再結成あり)、ニューヨーク・パンクを象徴する伝説のバンドとして、末永く語り継がれることは間違いないと思います。このアルバムとともに。