こちらでは、盆明けからようやく夏らしい暑さになって来ました。エアコンの入ってない私の寝室&パソコン部屋も、会社から帰ってくるとムーッとしてて、いやだなぁと思いながらも、夏は多少これがなくっちゃってな思いもあります。

 

これだけ暑くなってくると、やはり夏のミュージック、レゲエを聴きたくなりますね。先日のサマソニでも、レゲエの前身、スカで押し捲るスペシャルズを見たせいでしょうか、今晩は完全に気分はレゲエ。コロナ・ビールでも飲みながら、レゲエのリズムに身を委ねたいところであります。(晩酌はアサヒの発泡酒でしたが。)

 

昨年末の当ブログのファンの皆さんに選んでいただいた「20世紀のロック・アルバム」に、数あるロック・アルバムを押しのけ、レゲエ・アルバムが1枚ランクインいたしたしましたので、今晩はこれを聴いていきたいと思います。実は07年1月に一度「ロック日記」の書庫で取り上げているアルバムですが、今晩は、当時の記事を補足しながら、YouTubeの映像も貼り付けてご紹介したいと思います。

 

レゲエを世界に知らしめた天才アーティスト、ボブ・マーリー、ブレイクのきっかけとなったライブ盤です。
 
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Live! / Bob Marley And The Wailers
当ブログ・ファン投票  第50位(08年)、1票獲得(07年)
英米の評論家ランキング 第36位(87年)
75年発表

 

「70年代はレゲエの時代だ。」と、かのジョン・レノンが言った頃は、まだそれがどんなものだかわからず、音楽雑誌の記事受け売りで、スウェーデンのブルー・スウェードというバンドの「ウガチャカ」という曲が、レゲエだと思っておりました。

 

しかし、徐々に、ポール・サイモン等の白人大物ミュージシャンがレゲエを取り入れ、ビートルズの「Ob-la-di, Ob-la-da」が実はレゲエのリズムを使った音だったと知っていくに従い、この音楽に対する興味が湧いてきて、このライブが凄いぞという噂が徐々に拡がってきたことから、注目するようになりました。

 

当時の黒人音楽と言えば、ニュー・ソウルの全盛期だったのですが、当時中高生だった私には、ポピュラー・ソングの延長みたいな感じで、このレゲエの方がロックに近いスピリットがある!なんて、訳知り顔で、ソウルよりもレゲエの方を真剣に追っかけていました。

 

その後、パンクの時代になり、パンク・アーティストの多くがレゲエをその音楽に取り入れていったことから、私の中では異国趣味の音楽ではなく、ごく普通の音楽と感じるようになりました。ブルースとハードロックの従兄弟関係みたいな感じがパンクとレゲエにはありますね。

 

さて、このアルバム以前もマーリーはUKでアルバムを発表したりして、一部で高い評価を受けていたようなのですが、やはりこのライヴ・アルバムで一気にブレイクを果たし、70年代中頃のレゲエ旋風を代表する作品となりました。当時、渋谷陽一氏らの日本のロック系ラジオ番組でも、さかんに紹介され、当時アルバム買ったりしたわけではないのですが、このライヴは、ホント良く耳にしました。

 

オープニングは、ルーズな感じで淡々と始まる「Trenchtown Rock」。ゆったりとした明るい感じの曲調と、独特のベースのフレージングに、実に新鮮な感じを持ちました。まさにレゲエ!というリズム感。
https://www.youtube.com/watch?v=igNqdZncChU

 

アルバム冒頭は、やや地味な感じの曲が続きます。「Burnin, And Lootin,」「Them Belly Full」では、歯切れの良いギターのカッティングと能弁なベースが延々と続き、そのサウンドに乗せてマーリーが縦横無尽に歌い続ける感じ。そして、アルバムはA面ラストの「Lively Up Yourself」あたりから、どんどん盛り上がって行きます。この曲のイントロが始まった途端の観客の拍手は、この曲が既に有名な曲であったと知れます。力強さを感じるこの曲で、観客をどんどんアジテイトしていきます。
B面のトップの「No Woman No Cry」は、マーリーの代表曲、いや70年代を代表する曲と言っても良いくらいの、素晴らしいバラード・ナンバー。60年代のオーティス・レディングの名曲にも匹敵する位、素晴らしい曲。思わず涙が出できそうになるくらい、胸にジーンとくる名曲。

 

続く「I Shot the Sheriff」はエリック・クラプトンのカムバック・アルバム「461 Ocean Blvd」でも取り上げられシングル・カットもされました。クラプトンのに比べると、女声コーラスも入って、より明るい感じの曲になってます。

 

そして、ラストは聴衆をさらにアジテイトしまくる「Get Up, Stand Up」「起きろ! 立ち上がれ! おまえの人生のために! 戦いをあきらめるな!」と歌います。この歌は本当に元気にさせてくれます。
 
このようにアジテーションの色が濃かったため、政治とは無縁ではいられなかったようで、政治闘争に巻き込まれて狙撃されたり、ジャマイカの政党の党首同士をステージで握手させるといったエピソードも残ってます。残念ながら81年に36歳の若さで、脳腫瘍により亡くなりました。ジョン・レノン射殺のショックがまだ覚めない頃の悲報でした。

 

スカ、ロックステディの伝統を受け継ぐレゲエ。ロックの歴史に重要な影響を及ぼしました。