ブログ開設2周年を間近に控え、私の超フェイヴァリット・アーティストを先週あたりから、どんどん登場させておりますが、今晩はこのバンド。ブログ開設間もない頃に取り上げて以来の登場となります、スライド・ギターの名手、故ローウェル・ジョージ率いるUSはLAで結成されたリトル・フィートです。

実は、彼等のアルバムでLPで持ってたのは、前に取り上げた2ndアルバム「Sailin' Shoes」とライヴのみだったので、思い入れは2ndアルバムの方が強いのですが、彼等の傑作と言えば、この3rdアルバムというのが、今や定説となっております。

イメージ 1

Dixie Chicken / Little Feat

73年発表

デビ夫人?

ライヴを聴いてたおかげで、このアルバム収録曲も何曲か知っていたのですが、アルバム全体を通しで聴いたのは、20代になってからだったと思います。一応、ウェスト・コーストのバンドということで、イーグルスやドゥービー等と同列のバンドと捉えておりましたが、ジェケットの奇妙なデザインも相俟って、どこか異質なバンドという印象を持ってました(そこが好きだった所以なのですが)。

前作では、まだ、ストレートなロック・ナンバーも収録されていたのですが、このアルバムになると、普通のロックとはちょっと違うサウンドを聴く事ができます。ザ・バンドに近い雰囲気だなぁと当時は思っておりましたが、今ではそれが、ドクター・ジョンやアラン・トゥーサンなどの流れを汲むニューオリンズ・サウンドであることがわかります。

スワンプにも近い雰囲気のあるこの独特のサウンドを軸に、ブルーズ・フィーリング溢れる曲やファンキーな曲を集めた素晴らしい作品です。

オープニングはアルバム・タイトル曲「Dixie Chicken」は、彼等を代表する1曲。ただならぬ雰囲気のするリズム・セクションとビル・ペインの奏でるピアノによるイントロは、ゾクゾクしてきます。間奏でのジョージのスライド・ギターは素晴らしい。エミルー・ハリス、ボニー・レイット、ジェシ・ウィンチェスターが参加したスタジオ・ライヴ映像がありました。レイットはギター弾いてませんが、どうぞ。


「Two Trains」もニューオリンズ・サウンドにR&Bのテイストを加えたファンキーな曲。ここでもジョージのスライドは見事に冴えわたってます。一転、アコギによるカントリー・ブルーズ調の「Roll Um Easy」で、じっくりしっとりと曲を聴かせます。ストーンズの「Love in Vain」に似た雰囲気があります。

ブルーズ調のナンバーが2曲続きます。トゥーサン作の「On Your Way Down」はいかにも南部サウンドといった趣き。ジョージのヴォーカリストとしての力量も感じます。「Kiss It Off」もレイジーな雰囲気の曲。ムーグ・シンセサイザーのような電子音も絡ませ、サウンド面での工夫(遊び?)も感じさせます。ポール・ロジャースが歌うとハマリそうな感じがします。

B面に入ると、明るいアップな感じの「Fool Yourself」で穏やかにスタート。後にフィートのメンバーとなるフレッド・タケットの作品。ライナーによると、レイットも取り上げているそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=uGxL7Q3EPZc

「Walkin All Night」は、これこそ、典型的なニューオリンズ・サウンドといった感じ。この独特のノリは実に気持ちいいですね。ペインとギターのポール・バレルの作品。そして、ライヴ・アルバム「Waiting for Columbus」のオープニングを飾った「Fat Man in the Bathtub」。ファンキーなサウンドとレイジーなギターが醸すノリが最高の曲。自分が風呂に入る度に、歌ってしまう曲です。


ペインのエレクトリック・ピアノによるイントロで始まる、これまたブルージーな「Juliette」。フルートの音も聴かれ、かなり洗練された雰囲気のする曲です。ラスト・ナンバーはインストの「Lafayette Railroad」。ゆったりとしたスタイド・ギターをフィーチャーしたナンバー。静かに、不気味に、この傑作は幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=3EGnYs7tjcg

フィートのアルバムは結構収録時間が短くて、特にCDで聴いていたりすると、この傑作もあっという間に終わってしまう感じがします。が、独特のサウンドとリズムから生み出される、ノリというか、グルーヴというか、高揚感といったものは最高です。

ジャケットは2ndアルバム同様、ネオン・パークスの手による不思議なイラスト。今回はアコーディオンの化物が登場しております。