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いつの間にか、クイーンをコケにしたと誤解され嫌われ者になってしまったロキシー・ミュージックのリーダーにしてヴォーカリスト、ブライアン・フェリー。ディランのカバー・アルバムを近々発売予定ということもあって、汚名挽回のため、彼のルーツを明らかにした全曲カバーのソロ・デビュー作を紹介しましょう。

These Foolish Things / Bryan Ferry

73年発表

ロキシーで2作発表後、フェリーと並ぶ人気メンバーのイーノが脱退し、唯一のフロント・マンとして新生ロキシーにかける意欲が高まっていた時期に、ロキシーの新作(Stranded)と並行して制作された初のソロ・アルバム。ロキシーのメンバーに加え、古くからの仲間やアヴェレイジ・ホワイト・バンドのホーン隊も参加し、ロック、R&B、ポップス、スタンダードの名曲の数々を収録しています。

それでは、収録された曲を紹介します。( )内は元歌のアーティスト。(ライナーに拠っているところもあるため、間違いがあるかも知れません。)元歌を知らない曲は詞曲のクレジットを斜体で記載しております。

① A Hard Rains A-Gonna Fall (Bob Dylan)
 デイランの出生作「The Freewheelin'」に収録されており、ディラン自身もライヴで頻繁に演奏している名曲。ロキシーらしさが一番出ている曲ですね。先般、NHK-BS2で再放送されたロキシーのライヴでもこの曲を演ってました。本当にステージ上に水が落ちてきて、みんなずぶ濡れになって演奏してましたが、楽器が大丈夫か心配していたのは、私だけではないはず。

② River of Salt (Brown/J&B Zackery)
 60年代前半のR&B曲みたいな雰囲気ですが、オリジナルはわかりません。いい曲です。

③ Dont Ever Change (The Crickets)
 日本盤ライナーによるとクリケッツの曲だそうですが、バディ・ホリーのクリケッツかどうかは確認できず。詞曲は、Goffin & King。聴いたことあるような曲です。

④ Piece of My Heart (Big Brother & The Holding Company)
 ジャニス・ジョプリンの名曲を淡々と歌います。

⑤ Baby I Dont Care (Leiber/Stoller)
 これもオリジナルわからず。なんとなくプレスリーの曲みたいな雰囲気です。

⑥ Its My Party (Lesley Gore)
 63年6月にビルボードNo.1を獲得したティーン・エイジ・女性・シンガーの曲。オールディズものでは、結構聞かれる曲で、曲を聴いたら知っている人も結構多いような気がします。この曲の次にNo.1を獲得したのが「Suikiyaki」です。

⑦ Dont Worry Baby (The Beach Boys)
 ビーチ・ボーイズのスペクター・サウンドとして有名な曲までカバーしてます。この曲は好きですねぇ。

⑧ Sympathy for the Devil (The Rolling Stones)
 ストーンズのダウン・トゥ・アース路線の中で、アフロ・リズムを取り入れた曲として有名かつ名曲としての誉れ高き曲。ストーンズよりは、キザっぽく歌ってます。女声コーラスがこの曲の雰囲気をキープしてます。

⑨ Track of My Tears (Smokey Robinson & The Miracles)
 スモーキー・ロビンソンの曲を、見事に歌い上げてます。

⑩ You Wont See Me (The Beatles)
 「Rubber Soul」の収録曲で、赤盤には収録されなかった曲ですが、ポール作の名曲で、私も大好きな曲を、ややテンポをあげて歌ってくれてます。

⑪ I Love How You Love Me (Kolber/Mann)
 前奏はモロR&Bの名曲らしい感じですが、オリジナルわからず。ライナーによるとパリス・シスターズの曲で、「誰でも知っている曲」とありますが、残念ながらわかりません。でも、いい曲です。 

⑫ Loving You Is Sweeter Than Ever (Four Tops)
 モータウンの名ヴォーカル・グループ、フォー・トップスの曲。フェリー氏、ホント、楽しそうに歌ってます。

⑬ These Foolish Things (Standard,Maschwitz/Strachey)
 スタンダードだそうですが、私は残念ながらこの曲知らないんです。邦題は「愚かなリ、わが恋」。素晴らしい曲です。

 カバー・アルバムは、私の未熟さ、無知さを曝け出すようで、自分で企画しておきながら、辛いものがありますが、アーティストのルーツを知る上で、非常に有益なものだと思います。昔は、絶対聴くもんかと思ったのですが、今は、ロキシーのオリジナルよりも楽しく聴けてしまいます。いやぁ~、ホントに名曲揃いのアルバムです。