源兵衛の漕ぐ舟は、勢いよく進んでいる、長年の漁師の上手い漕ぎ方で、一橋慶喜(徳川慶喜)の乗っている舟までの距離は、約400メートル、
一橋慶喜は、投げて、しばらくおいた投網を引き上げている、そして舟の上に引き上げた漁網から、従者の1人が、魚を拾い上げている、
そして、もう1人の従者が平岡円四郎で、その平岡円四郎は、品川沖に新しく築かれた台場の方を見て、真剣に何かを書き留めている、
その、平岡円四郎の真剣な横顔を見て、西郷隆盛は何かを感じたらしく、
「そうか、一橋様の網漁の目的は、アレでごわしたか」と、言葉に出た。
源兵衛は、アレとは何か解らないので、
「旦那、アレとは何ですか・・・、しかし、あの若侍様の投網は見事なものですじゃ、とても、若侍様の旦那芸じゃ、ありませんぜ、漁師並みですぜ」、
「そうだろう、よっぽど練習したでごわしょう、あの、お方は、まさしく高天原からきたようなお方だ」、
「え、高天原?」、
「ああ、世の中には、天から降ろされた人という者がある、あのお方は、まさしく、その人でごわす、源兵衛、やはり打つけ無いよう近くに着けてくれもせ」、
「はっ、打つけ無いようにですか?、よく気が変わりますね旦那」、
「ああ、あの中の1人が、おいの知っている、平岡どのいう方でのう、近くに行ったら、おいが平岡どのに話しかける」、
一橋慶喜ら3人は楽しんでいるように見えた、でも、楽しんでいるみたいでも目は何か網漁とは違う何かにという感じだった、すなわち網漁は芝居という、西郷隆盛は、それが何か感じていた。
船は近づくにつれ、3人の顔が、ハッキリ見えだした、獲れた魚を拾っているのは、猪飼勝三郎で、平岡円四郎は、せっせと筆を動かしている、どうやら、台場の備えや、陸地の湾曲などを絵のように写しているみたいで、
また、海の中に何か長い板のような物を吊るして入れていた、それを時々、引き上げ、手で濡れている部分の長さを計っている、
西郷隆盛は、それは、水深を計っていると、すぐに解った。
それを見て西郷隆盛は、島津斉彬から聞いた話を思い出した。
「水戸の老公(水戸斉昭)は、アメリカの軍艦が来て、江戸は大変な騒ぎだというのに、そんな大騒ぎの中、ペルリの軍艦だけじゃなく、乗組員の服装やら、何やかんやと詳しく調べて書き写して送ってきてくれたわい」と、言っていた、その島津斉彬の話を思い出し、
「やはり、慶喜様は水戸の御老公様の御子息、海防などの海の様子を探っておられもす、網漁に見せかけて」、
「へ?、旦那、じゃあ、あの立派な投網は芝居だと言うんですかい」、
「ああ、おそらくそうでごわす、源兵衛どん、この事は秘密に、誰にも言ってはいけんでごわすよ」、
源兵衛は、恐怖で寒気が走った、もし誰かに洩らしたら斬られると思い、
「へい旦那、それはもう解っております、絶対に誰にも言いいませんので」と、震えながら言った。
その様子を見て、西郷隆盛は笑いながら、
「ハハハ、源兵衛どん、何を震えているでごわすか、おいは、こうして舟を漕いでくれもす源兵衛どんを、よう斬れんでごわすよ」と、西郷隆盛は言いながら、
一橋慶喜は、人並み以上の知識と技能を持っていながら、それを表に出さず、何も知らないフリをして黙っていると聞いたのを思い出し、少し、薄気味悪さを感じてしまった。
つづく。
一橋慶喜は、投げて、しばらくおいた投網を引き上げている、そして舟の上に引き上げた漁網から、従者の1人が、魚を拾い上げている、
そして、もう1人の従者が平岡円四郎で、その平岡円四郎は、品川沖に新しく築かれた台場の方を見て、真剣に何かを書き留めている、
その、平岡円四郎の真剣な横顔を見て、西郷隆盛は何かを感じたらしく、
「そうか、一橋様の網漁の目的は、アレでごわしたか」と、言葉に出た。
源兵衛は、アレとは何か解らないので、
「旦那、アレとは何ですか・・・、しかし、あの若侍様の投網は見事なものですじゃ、とても、若侍様の旦那芸じゃ、ありませんぜ、漁師並みですぜ」、
「そうだろう、よっぽど練習したでごわしょう、あの、お方は、まさしく高天原からきたようなお方だ」、
「え、高天原?」、
「ああ、世の中には、天から降ろされた人という者がある、あのお方は、まさしく、その人でごわす、源兵衛、やはり打つけ無いよう近くに着けてくれもせ」、
「はっ、打つけ無いようにですか?、よく気が変わりますね旦那」、
「ああ、あの中の1人が、おいの知っている、平岡どのいう方でのう、近くに行ったら、おいが平岡どのに話しかける」、
一橋慶喜ら3人は楽しんでいるように見えた、でも、楽しんでいるみたいでも目は何か網漁とは違う何かにという感じだった、すなわち網漁は芝居という、西郷隆盛は、それが何か感じていた。
船は近づくにつれ、3人の顔が、ハッキリ見えだした、獲れた魚を拾っているのは、猪飼勝三郎で、平岡円四郎は、せっせと筆を動かしている、どうやら、台場の備えや、陸地の湾曲などを絵のように写しているみたいで、
また、海の中に何か長い板のような物を吊るして入れていた、それを時々、引き上げ、手で濡れている部分の長さを計っている、
西郷隆盛は、それは、水深を計っていると、すぐに解った。
それを見て西郷隆盛は、島津斉彬から聞いた話を思い出した。
「水戸の老公(水戸斉昭)は、アメリカの軍艦が来て、江戸は大変な騒ぎだというのに、そんな大騒ぎの中、ペルリの軍艦だけじゃなく、乗組員の服装やら、何やかんやと詳しく調べて書き写して送ってきてくれたわい」と、言っていた、その島津斉彬の話を思い出し、
「やはり、慶喜様は水戸の御老公様の御子息、海防などの海の様子を探っておられもす、網漁に見せかけて」、
「へ?、旦那、じゃあ、あの立派な投網は芝居だと言うんですかい」、
「ああ、おそらくそうでごわす、源兵衛どん、この事は秘密に、誰にも言ってはいけんでごわすよ」、
源兵衛は、恐怖で寒気が走った、もし誰かに洩らしたら斬られると思い、
「へい旦那、それはもう解っております、絶対に誰にも言いいませんので」と、震えながら言った。
その様子を見て、西郷隆盛は笑いながら、
「ハハハ、源兵衛どん、何を震えているでごわすか、おいは、こうして舟を漕いでくれもす源兵衛どんを、よう斬れんでごわすよ」と、西郷隆盛は言いながら、
一橋慶喜は、人並み以上の知識と技能を持っていながら、それを表に出さず、何も知らないフリをして黙っていると聞いたのを思い出し、少し、薄気味悪さを感じてしまった。
つづく。