「そうじゃ龍馬、幕府が弱腰を見せたから、植民地にしようと、メリケン(アメリカ)や他の国供が来るかも知れんのだぞ」、
「そうじゃ、じゃから、吉田先生が、やろうとしたように、メリケンの事も学ばんといけんのじゃき、しかし、武市さんは、吉田先生の事を知っとったがか」、
「ああ、噂を聞いただけじゃ、吉田寅次郎、通称、吉田松陰、黒船に乗り込もうとした男として有名じゃき、じゃが、吉田松陰どのは、ペリーを暗殺しようと計画を立てていたちゅう噂を聞いた事があるぜよ」、
暗殺の話を聞いて、坂本龍馬は驚き、
「何~、暗殺じゃと・・・、まあ、あの吉田先生なら、本当に、やりかねん、何しろ気性の激しい先生じゃったき、しかし、武市さん、武市さんは、どこから、そんな話を聞いたぜよ?」、
「それは、他藩の、わしの知り合いから聞いたぜよ、だけど龍馬、この暗殺しようと計画をしていたらしいという話は、あちこちに喋ってはいかんぜよ、龍馬は口(くち)が軽いき、吉田どのの身に関わるきの」、
「ああ、解ってるぜよ、言う訳無いき、皆んなも、言っちゃダメぜよ」、
武市半平太は少し笑みを浮かべて、「皆んな解っとるき、龍馬が、1番、危ないんじゃき」、
「ハハハハハ」、道場内に皆んなの笑い声が広がった。
その時、突然、戸を乱暴に開いて、
「おまんら、何を騒いどるきー、何か企んどるんじゃないろーな?」と、
怒鳴りながら、4人の上士が入ってきて、道場内を見渡しながら、
その中の1人が、「郷士ども、ひかえろー」と、また怒鳴った。
郷士たちは、皆、ひざまずいて頭を下げた。
「おまんら郷士どもが、こんなにも集まりおって、何を企んどるき、外にまで聞こえろー大きな笑い声を出しおって、わしら上士の悪口でも言い合っておったがか?」、
武市半平太は即、「いえ、わしらは何も企んでおりませんき、悪口も言っておりません、ただ面白い話をして笑いあってただけですき」、
「何を、とぼけた事を、おまんらが毎日のように、武市の道場に集まっているのは調べ済みぜよ、だいたい、ここにいるのは全員、道場生か?」、
武市半平太は、困った顔をして、「それは・・・」と、答えると、
「まあいい、武市、おんしは白札郷士、首謀者じゃろ、吉田東洋様が首謀者の顔を見たいそうじゃき、ついて来い、白札は、お目通りが、かなう身分ぜよ、他の郷士どもは、ひかえておれ」、
上士と武市半平太が出て行くと、坂本龍馬は隣に座っている、那須信吾に聞いた。
「吉田東洋とは誰じゃ?」
「最近、参政になった男ぜよ」、
「ふ~ん、上士の大将か?、わしゃ江戸へ行ってたき全然解らんき」、
吉田東洋は、山内容堂が、1884年(嘉永元)に土佐藩の藩主になり、
1853年(嘉永6年)に、山内容堂が吉田東洋を参政として起用し、財政改革に力を入れ、木材、米、砂糖、石炭などの産品の統制を強化するなどの策をします。

つづく。