５月３日は憲法記念日。そしてGWで行楽地や高速道路がめちゃくちゃ混む日。毎年この時期には、朝早くから仕事の準備に追われ、夜中まで慌ただしく働いて、ちょっと満足げに帰宅する。そんな一日を毎年のように送ってきました。
でも去年からこの日は、僕にとってもう一つ大きな意味を持つようになりました。
ちょうど一年前の今日、その日の仕事をあらかた終えた夕方４時頃、走り回った自動車を駐車場に停めて、車の中でその日の総括をすべく携帯で連絡を取っていました。すると、携帯の着信に見慣れない番号が。
ふと番号の末尾４桁をみると、〈０１１０〉。間違いなく警察署の電話番号です。しかも市外局番は、４年ほど前にいた場所。
警察に厄介になるようなことに身に憶えは無いし、ああそうか、落とし物を届けたことあったっけと思いつつ、電話を取りました。
結論から言いますと、僕のたった一人の親友が亡くなったという連絡でした。そのときははっきりと警察も言ってくれませんでしたが、どうやら自殺のようでした。
良くある話ではありますが、なにせついさっきまでくたくたになりながら仕事に追われていましたので、頭の整理がつかず要領を得ませんでした。警察の人も困ったでしょうね。
親友が所持していた携帯から、着信をたどって電話をして来たようです。身元の確認も必要ですが、自殺の場合事件性が無いかどうかを確認するため、電話してきたみたいです。そういう物なんですね。勉強になります。
親友とは転勤もあり、そのときは遠く離れていましたが、よく携帯で連絡を取り合っていました。親友は鬱を煩って以来、仕事も休みがちではありました。さらに遡ること１年前にも、違う病気で倒れていてあまり無理の出来ない体でした。なのに彼は人の心配ばかりするような奴で、ただでさえ抱えきれないことを背負い込んでしまった上に、会社が難しい局面を迎えてしまったことが、原因だったのかなと思っています。
あれから一年。やっぱり今日も仕事に追われましたが、今日は早めに仕事をあげ、近くの橘寺に向かい親友に思いを馳せながらおまいりしてきました。
昼間は観光客でにぎわったであろう橘寺の前に立ち、門は閉まっていましたがその前でお参りさせてもらいました。
そんなときに考えるのは、結局自分のことばかり。毎日毎日二人で飲み歩いたけどまだ飲み足りないとか、８０年代の音楽のこととかを語り合ったりしたかったとか、もっとうまいもの食べに行きたいけど飯を食いに行くやつは他にいないから困るとか。
そういえば、彼は神社やお寺が好きな僕のことを知っていたので、正倉院展に誘ってくれたこともありました。奈良公園内にある旅館で、仲間数人と食べた鍋もうまかったな。せっかく奈良に転勤したんだから、もうすこし待っててくれればたくさん案内してあげれたんだけどな。
そんなことを考えているうちに、周りはすっかり闇に閉ざされていました。いい大人が少し暗い涙ぐんでも、これならちょうどいいかもと思いつつ、自転車で帰路につきました。