はじめに、手術が終わった直後のことから順に見ていきます。豊胸手術のあとには、しばらくうつ伏せにならないでください、という指示が出ます。これはインプラントとその周囲に圧がかからないようにするための指示です。
次の段階では、この指示が生活のなかで守られていきます。寝る姿勢に気をつけて、マッサージ台のようなものも避けて、という期間が続きます。ここまではごく一般的な回復の過程です。
そのあいだに、毛髪移植を考え始める方がいらっしゃいます。ここで問題になるのが、採取のときの姿勢です。従来、非切開の採取はうつ伏せで行われることが多く、それを前提にすると、二つの指示が正面からぶつかります。
ぶつかった結果として「先の指示が切れるまで待ちましょう」という期間が出てきます。ですからその期間は、身体が治る速さから逆算されたものではなく、姿勢の前提から出てきたものだ、ということになります。
ここまで分けて考えると、動かせる部分が見えてきます。採取は、額を前方の支持台に預けて座った姿勢でも行えます。植えるときは仰向けですから、胸に圧がかかる場面は減ります。座位での採取を計画に入れられる場合、待つ理由そのものが変わってきます。
ただし、全身状態の制約が本当にある場合は話が別です。体力が落ちている方、栄養状態がよくない方は、順番をどう組んでも待機的な手術の適応から外れます。この場合に必要なのは短い期間の提示ではなく、そもそも手術をするかどうかの相談です。
最後に、ご自身の場合はどうかという点です。先の手術でどんな指示を受けているか、それが何を守るための指示か、その指示に毛髪移植が実際に触れるのか。この三つが期間を決めています。お手元の説明書きをお持ちのうえで、一度ご相談いただければと思います。
ひと目で比較
| 体位の制約 | 全身状態の制約 | 判断の主体 | |
|---|---|---|---|
| 何を守るか | 手術を受けた部位 | 手術に耐える力そのもの | 主治医 |
| どこから来るか | 先の手術の回復指示 | 体調・栄養・持病 | 主治医 |
| どう解けるか | 姿勢を変えるか、期間の経過を待つ | 日程では解けません | 主治医 |
よくある質問
Q. 豊胸手術のあと、標準的な待機期間はありますか。
A. 術式、インプラントの位置、切開の入れ方、そして退院時に受けた指示によって変わります。一般的な数字より、お手元の指示のほうが出発点になります。
Q. 採取はいつもうつ伏せなのでしょうか。
A. そうとは限りません。額を支えて座った姿勢での採取もあります。適するかどうかは、症例ごとの計画のなかで判断されます。
Q. 目や鼻の手術のあとも同じ問題が起きますか。
A. 顔の手術のあとも、頭を下げないようにという指示が出ることがあります。考え方は同じで、どの指示が今も生きているかを確かめるところから始まります。
