高い空と秋の色 | Cronus's tears

Cronus's tears

I am not worthless for you to think.

前回の「夕焼け空と夏の終わり」の番外編のようなもの。

駄文レベル50。昔に書いたものである。


「高い空と秋の色」


ヒュオォォォ



―――…それは俺と妹の、ほんの些細な物語。


○      ○      ○
ヒュオォォォ

秋風の冷たさに、妹が体を縮こませた。

「お兄ちゃん、さむいー」
「…そんくらい我慢しろばーか」

俺と妹はいつものように近くの店へと歩いていた。

もう季節はすっかり夏から秋へと変わっていて、時折吹く風が冷たい。

友達の江崎が「俺は今年の冬を夏服とともに過ご――す!!」って言ってたけど大丈夫なんだろうか。


季節が変わったので、俺らの服装もそれらしくなっていた。…江崎ほど馬鹿じゃねえし
妹はピンクに白いボンボンがついたマフラーにくまの耳あて
俺はいつもの黒いマフラーに、春以来着ていない冬服。


…どう見ても、妹のほうが暖かそうな格好してるはずなのに、さっきから妹がうるさい。

俺のほうが寒いんだからな!

寒い寒い言う妹がウザったいので俺は早足に店へと向かった。


○      ○      ○

店の中はいつも通りの懐かしい雰囲気を醸し出していた。
『スーパーイトウ』それがこの店の名前だ。

俺は妹が離れないように手をつなぎながら、お袋の頼まれた食材を探す。

白菜とか書いてあるから多分今夜の飯は鍋だろう、考えるだけで腹が減る。

なんでいまさら腹が減るんだよお…

○      ○      ○



買い物袋をぶら下げて今日の晩御飯のことを考えているとまた腹が減ってくる。
早く帰りてえ…


「お兄ちゃん、今日もあれ食べれるかなあ?」
空腹で昇天寸前だった俺に不意に妹が聞いてきた。

あれってなんだっけ?


たしか夏ごろの「あれ」は飴みたいなアイスをさしていっていたはずだ。

でも、今は秋だろ?寒いって言ってるはずの妹が冷たいものを食べたがるわけが無い。


もしかして、飴とか?うーん、チョコかもしれないな…あいつ甘いの好きだし。

いまいちピンとくる食べ物が俺の頭で見つからない。


「あれ」だけじゃわかんねえよ、くそー!


…俺が悩んでいると、数日前の記憶が脳裏によみがえった



(お兄ちゃん、あれ食べたい!!)

(ああ、「_____」のことか?ほくほくしてておいしいぞ)

(あったかい?)


(ああ、今日の寒さにぴったりだ)


(寒いから「_____」たべる~)





「お兄ちゃん、今日寒いからあれ買って帰ろーよ」

「ああ、わかったお袋にも買っていってやらないとな…




                          『焼きいも』」


それに頬張りついていた妹は珍しくかわいく思えて、

俺と妹は「焼きいも」をたべながら家路についた。

――――高い空の下で。




~END~