おはようございます。
BBブリッジの番場です。
久しぶりのブログ更新になりました。本日は市場拡大が続く抗体医薬品について記載したいと思います。
抗体医薬品は2016年の世界売上高が約1.7兆円(160億米ドル)を超える超大型製品Humiraなど、ブロックバスターが次々と登場し、市場拡大が続いています。年間世界売上高が5,000億円を超える製品はHumira以外にもRituxan、Remicade、Avastin、Herceptinがあり、市場をけん引しています。数年前の抗体医薬品の市場の特徴として、前述のような大型製品によって抗体医薬品市場の大半が占められていましたが、現在では新規抗体医薬品の登場によって、市場は細分化されてきています。そして、2017年3月にはまた大型化が期待される新規抗体医薬品2つが米国FDAで承認されました。
1つ目はRoche/Genentechによって開発された抗CD20抗体Ocrevus(ocrelizumab)です。Ocrevusは再発型多発性硬化症(MS)および一次進行型多発性硬化症(PPMS)を対象に2017年3月に承認されています。PPMSの適応を持つ医薬品としては米国FDA初の製品になります。投与方法は6か月ごとの静注で、患者さんへの負担も軽減されています。Ocrevusの標的はCD20ですが、同じ抗CD20抗体Rituxanと比べて異なったエピトープへ結合すること、また、標的への結合能はRituxanに比べて高く、ヒト化抗体であるためRituxan(キメラ抗体)に比べ免疫原性は低いという特長があります。
2つ目はSanofi/Regeneronによって開発された抗IL-4αR抗体Dupixent(dupilumab)です。Dupixentは中重度アトピー性皮膚炎を対象に承認されましたが、IL-4およびIL-13の細胞間シグナル伝達をブロックすることで治療効果を発揮します。投与初日は2回、その後は2週間毎に皮下注射され、年間治療コストは約3万米ドル程度と言われています。
上記2つはいずれも抗体医薬品の開発で最も多い免疫機能の調整分子を狙った製品ですが、対象疾患は多発性硬化症とアトピー性皮膚炎という治療満足度の低い疾患であり、臨床試験の成績も良いことから、大型化が期待されます。
このように抗体医薬品の開発においては次々と新しい製品が登場しており、また、治療対象となる疾患の種類も増加しています。抗体医薬品は製品単価も高いことから、市場拡大が今後も続いていくことが予想されます。
市場拡大が続く抗体医薬品の最も大きな課題は医療財政への影響です。昨年には小野薬品工業のオプジーボ(抗PD-1抗体)の薬価が緊急引き下げされたことは記憶に新しいところです。日本でも2016年度より医薬品や医療機器の医療経済評価が試験的に導入されていますが、実際にどのように運用されるのか、不透明な部分も多いのが現状です。
抗体医薬品のような効果の高い医薬品を広く患者に届け、さらに開発側の製薬会社にも適正な利益が得られ、国としても持続可能な医療システムを早急に検討することが必要であると考えられます。
BBブリッジでは抗体医薬品に関する2つのレポートを作成しています。
ご興味がございましたらご覧ください。
【製品の開発・市場動向】
【抗体の製造技術・市場の動向】※2017年6月発刊予定