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BBブリッジ公式ブログ クワトロB(BB-Bridge Blog)

ライフサイエンス・メディカル分野の研究開発動向などの情報を発信しています。本ブログへのリンクは大歓迎です。ブログ内容や写真のすべてまたは一部の引用は事前にご連絡をお願いします。

こんにちは。

BBブリッジの番場です。



前回はマイクロバイオームを用いた治療法である便移植について書きましたが、今回は10月上旬に参加した米国サンディエゴでのマイクロバイオーム関連会議について書きたいと思います。本会議は学会とは異なりビジネスカンファレンスなので、企業の研究者を中心に大学や研究機関の研究者など多様な人が参加されています(学会とビジネスカンファレンスの違いについては別の機会にご説明したいと思います)。

ビジネスカンファレンスは参加費が高額(10万円前後)であり、テーマがマイクロバイオームというかなり新しい分野のため参加者は少ないと思っていましたが、実際には200名前後の方が参加され賑わっていました。

参加者名簿を見ると日本からは私を入れて3名、他2名は大手食品企業の方と大手分析装置関連メーカーの方でした。

以下は会議の様子と会議場となった施設です。サンディエゴは気候が良く10月上旬でもTシャツで十分なほどの陽気でした。米国民にとってサンディエゴは非常に人気がある街の一つだそうです。



会議の様子 会議会場


会議では企業担当者や研究者から多くのプレゼンがありました。その中で特に興味をひかれたものは自閉症とマイクロバイオームの関連性についての話です。

自閉症を持つ小児および大人のおよそ50%は慢性的な下痢など消化器の疾患を抱えており、これらの患者は通常よりもより重い自閉症を抱えているケースが多いとのことでした。実際に自閉症の患者さんのマイクロバイオームを調べると、健常者と比較してマイクロバイオームの多様性が少ない(例えばPrevotella菌の減少)こと明らかにされています。
これらの患者さんが乳児だった頃の治療歴をしらべると、健常者が乳児であった頃に比べ、将来的に自閉症を発症する乳児は抗菌剤を2~3倍使用していた。この抗菌剤の使用量の多さが自閉症の発症に影響を与えている可能性があるとの報告でした。
実際に豪州The Centre for Digestive DiseasesのThomas Borody博士は、患者さんに対し便移植(便移植については前回のブログをご覧ください)を行うことで、患者さんが苦しんでいた夜中の腹部痙攣など消化器の症状が回復したそうです。その結果、治療が終了するころには患者さんは十分な睡眠をとることができるようになり、自閉症に関わる症状が大きく改善(ボキャブラリーの増加など)されたと発表しています。

このように一見するとマイクロバイオームと関係のないような精神疾患に対しても、マイクロバイオームを制御することで治療できる可能性があります。特に小児の患者さんなど医薬品の積極的な使用が懸念される場合にも、マイクロバイオームの制御する治療は有効な選択肢になり得るかもしれません。まだ少数の臨床研究ですので今後さらなるエビデンスの蓄積が必要ですが、マイクロバイオームの可能性を再認識した発表でした。


マイクロバイオームに関するブログは今回で終了です。

お読みいただきありがとうございました。

当社作成のレポートの詳細についてご興味がある方は以下をご参照ください。
「マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望」
https://www.bb-bridge.co.jp/reports/37/