こんにちは。
BBブリッジの番場です。
現在、「マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望」という技術レポートを作成しています。そこで今日はマイクロバイオームについて書きたいと思います。
マイクロバイオーム(Microbiome)はライフサイエンス分野の中でも比較的新しい研究領域であり、Pubmedで検索すると最初にマイクロバイオームという言葉が使われたのは2002年でした。
マイクロバイオーム、一言でいうと微生物に関する研究ですが、今までの微生物研究と異なる部分があります。人の体内には大腸菌やビフィズス菌など様々な微生物が存在しています。従来の微生物研究は技術的な限界によって単一もしくは数種の微生物のみを対象として解析が行われました。しかし、2000年代半ばの次世代シーケンサーの登場によって、それぞれの菌の属や種など細かな分類に基づく解析が安価かつ短時間で行えるようになりました。
この技術革新によって微生物群を1つの集合体(細菌叢)として評価・解析できるようになり、その研究成果を医薬品や診断技術開発に応用する動きが欧米を中心に加速しています。
では実際にどのように応用しているかというと、微生物が多く存在する胃や大腸などの消化器では、例えば炎症性腸疾患の発症に微生物が関わっていると考えられています。そこで健常者と患者の消化管内のマイクロバイオームを比較解析し、両者に違いがあるかを明らかにします。もし違い(例えば乳酸菌の特定の種が少ない・多いなど)がある場合、それを医薬品を用いて健常者と同じような状態に修正(Modulate)することで疾患を治療することがマイクロバイオームを利用した医薬品の基本的な考え方です。研究発表をみると、病気の患者は健常者に比べて生体臓器における微生物群の多様性が失われているという傾向があるようです。
微生物群修正の方法はユニークで、1つは微生物に対し活性(微生物の生育を促進もしくは阻害させる)を持つ低分子化合物を利用する方法、もう1つは患者の臓器で減少している微生物そのものを体内に投与する方法です。つまり今までは低分子医薬品や抗体などタンパク医薬品を利用して行われていた治療が、微生物を医薬品として投与することで治療できるようになるかもしれないということです。
マイクロバイオームを利用した医薬品の特長として、従来の医薬品では効果が得られなかった疾患・症例の治療に利用できることや、本来人が持つ微生物の力を利用しているので副作用が少ないなどが指摘されています。しかし、マイクロバイオームを利用した医薬品は未だ研究開発段階であり、今後のの研究開発の進展・成果の臨床応用によって証明されることになります。
次回のブログではマイクロバイオームを利用した医薬品開発の企業動向などを記載したいと思います。
当社作成のレポートの詳細についてご興味がある方は以下をご参照ください。
「マイクロバイオームを利用した医薬品・診断技術開発の最新動向と将来展望」
https://www.bb-bridge.co.jp/reports/37/