管理職者の立場として | おばちゃん訪問看護師のつ・ぶ・や・き

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50を過ぎてなお、毎日バイクで駆け回り、わかりづらい社会保障制度や死生観について考えさせられる日々なのです。在宅看護ってエキサイティングで面白い!

先日、始業早々にひとりの若いスタッフが管理職者に何やら聞き取り調査をされていました。
なんの気無しに、だってすぐ横でやり取りしていたもんだからいやでも聞こえちゃったんだけど、内容としては、とある利用者さんから

『酷いこと言っちゃってすみませんでした。だってそのスタッフさんがあんな言い方するもんだから』

みたいな連絡が入り、その時の様子を聴取していた模様。

精神科看護ってなかなかに大変で(まぁ、どこもかしこもそうだけど)、

『発達障害・発達遅滞などが基礎にありつつ中年になった精神科と内科の複合要素を持ち合わせた患者さん』

とか、結構地味に対応に苦慮する事が多々あるのです。

就業により自身の生活を維持する事ができない事がほとんどなので、おのずと生活保護に頼らざるを得なくなります。

もちろん、社会参加や規則正しい生活の維持のため、作業所へ通所してわずかに収入を得ている場合も多いです。

そんな状況の中、内科的には酷い糖尿病と高血圧を慢性疾患として持ち合わせいろんな意味で自制的な生活を送って頂かなきゃならんのに、コントロールは困難、と言うケースがまま、あります。

でもだからと言ってただ漫然と見過ごしにしておくわけには参りません。
好きな様に買い食いされれば糖尿病と高血圧は悪化するし、悪化したら治療代は大体が全額公費だし、万が一透析治療とかになろうもんなら、治療費の年額は想像を遥かに超えますから。

その色々な社会資源を守るのも仕事のうちですから。

そんな事で、その若いスタッフもその辺りの注意を促した様ですね。ただそういう時、伝え方や言葉選びを誤ると今回のような事例に辿り着くのです。

そして、スタッフ側にあえて厳しく言うならば、そのスタッフよりも利用者さんの方が年長であり、その辺りの言葉遣い、態度などがきちんと敬意をもとになされていたのか、と言うのは不明で、疑問で、問題点かもね、とは思いました。

そんなこんなで冒頭のシーンに戻り、管理職者は一通りその場での状況に加え、何故そのような対応に当たったのかなどなど、聞くだけ聞いて

『うーん、、、もうちょっと考えてみて』

と言った。

言われたスタッフは『え?』
私も心の中で『え?』


それはまずいでしょ。なんでそうなるの、と。


恐らく上司の中ではその対応は『不適切』と判断し、他に『適切』な方法があるとの結論に至ったのでしょう。

それはそれでいい。

ただ、順序や方法を間違えると欲しい結果が得られないだけでなく、残念な結果にたどり着く可能性だってある。

案の定、その後そのスタッフは

『なにあれ?散々ぱらこっちに喋らせといて、挙句“もうちょっと考えて”って、何お?ってなるでしょ。まるでメンヘラの彼女から“なんで怒ってるか分かる⁉️”って詰め寄られてるみたいじゃん。分かるわけないじゃん‼️💢』

て、なってた。あまりにも例えがうますぎて不覚にも吹いてしまったわ。

本来、そこまで聞き取りをしたのなら先ずその意向を理解するよう努めた方がいいですよね。そして、一度受け止めてから

『実は私としてはこんな考えでこんな風にするな、と思ったんだけどこれについてはどう思う?今でなくていいからちょっと考えてみてくれる?』

なら、何について考えなければいけないのかが明確だし、何よりも言われた方が『否定された感覚』を持たずに済むでしょ。


『言って聞かせ、やって見せたらさせてみる、後に褒めねば人は育たぬ』


山本五十六も言ってるよ。そう言う風にしなけりゃ人は育たないって。


どうしても、単に役職が上がり、立場が上になると『人間として偉くなった』気になっちゃうみたいでね。

もちろん、これは私も経験して痛い目を見ているからこそ言える事でね、別に上司は人として偉いからなれてるとは限りませんよ。

だけど、上下関係における上の立場で管理するような状況になったら人格の向上を伴わせないと、その役職すら全うできないことになりかねないんじゃない?と思う。
    
だってそもそも部下になる人たちは、何も上司だから尊敬するわけでも指導して欲しいわけでもない。なんなら相性が悪くてサイアク……、な状況の方が多いような気すらする。

そうそう余談ですが、アメリカのとあるリサーチ会社がだいぶ以前に『退職理由』について世界規模でリサーチした事があり、それによると退職のダントツ一位の理由は

『直属上司とお別れしたい』

だったそうな。
大体辞める時って『家族が…』とか『自身が病気で…』とか『他にやりたい事ができて…』など様々ありますが、実際のその真意は『上司がいや』だったと言うお話。

相性、確かにありますよ。時間に正確に動きたい人とインスピレーションを大切にしたい人とでは何もかもが相入れませんから。

だけど、管理職になったらその全てのパーソナリティに対応しなければいけないことは、そこに辿り着くまでに散々見てきているはず。

学ばなきゃだよ。上司になるためには専門職としての技術や知識、また、ビジネスに関する様々なノウハウ、更により多くの人と円滑に意思疎通を図る事ができるよう心理学を。

部下を指導したいならどれだけ下から回り込めるか。挨拶する時も部下よりさらに深く頭を下げ、へりくだるくらいで丁度いいのに。

なのに割と多くの人が、役職に付くと徐々に『上から目線』を覚え『マウント』取り始めんの。
そして結構それらは無自覚に行われる。
自分自身を振り返ってしみじみそう思う。

だからこそ部下より深く頭を下げ、常に控えめに上手く出来たことは部下のおかげ、失敗したのは管理力不足、くらいにしておく方が、部下は働きやすかろう。。。。?


そうは言っても、これはあくまでも部下から見た視点であり、逆の視点に立った場合『こんな部下嫌ダァ〜!』と言うケースもありますよ。
今日は触れないけど。



優れた人格を表す言葉に

『実るほど 首(こうべ)を垂れる稲穂かな』

『下がるほど 人の見上げる 藤の花』

ちゅうのがあります。

私自身も常に肝に銘じて日々、人格向上に努められるよう頑張りたいという気持ちを持ち続けたいとか思います。

以上。

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