5080問題 | おばちゃん訪問看護師のつ・ぶ・や・き

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50を過ぎてなお、毎日バイクで駆け回り、わかりづらい社会保障制度や死生観について考えさせられる日々なのです。在宅看護ってエキサイティングで面白い!

今の日本は超高齢社会な訳ですから、どこに行っても高齢な方々の割合が高いですね。公共交通機関しかり、単なる街中しかり。


当然病院などは言うべくもなく、外来・病棟共に高齢者の方々が多いです。。。確かに…


割と潜在看護師を作ってしまう要素の一つに

『認知症患者の看護』

があるよな、と常々思っています。


これ、言い方や表現に注意しないとかなりな問題になるセンシティブな問題ですが、事実です。

紛れもない事実だと思います。


『認知症』とはその名の通り、外界を認知する機能に障害が発生する『病気』で、単なる年齢相応の健忘とは全く異なります。


大雑把に言うと、外界を『認知・認識』する事や『記名力(記憶)』、『理解力』等々、脳の働きによって繰り広げられる活動が著しく機能低下していく『病気』を指して言います。


認知症は『アルツハイマー型』だけではなく、様々あります。


同じ類の診断を下されたとしても、完全に症状や成り行きが同じになるものではなく、実に千差万別です。ただ、それぞれの病名に則して特徴的な症状はあり、それらに限っては程度の差こそあれ、同様症状を呈するため、診断確定されるかな、といったところでしょうか。


概ね理性や感情を司る部分は破壊される様で、それが看護を難しくさせるのはご想像に難くはないと思います。


ただ、こちとら看護のプロフェッショナルですから、教科書的にも散々勉強しますしね、病棟で遭遇して夜勤を共にしたからとて、フツーの看護師さんらは『へっちゃら』(とまでは言わないまでも…)です。


しんどいのは『家族』ですかね。


患者さんは、状況や何だかわからないその日のバイオリズムかなんかでフツーに見えちゃうこともしばしばで(でもこれは表面しか見てなければ、ね)、家族にとっては受け入れ難い出来事であるが故になかなか協力体制を整えられない。。。


きれいにまとめてみたつもりですが、どうでしょう。


自宅で実際に介護していたご家族であれば、その大半は(全部じゃないよ)大いなる理解者であり、協力者であり、戦友となります。


口腔ケアの際、噛みつきから指を防護するためのマウスピースごと噛み砕かれ、あわや左の人差し指を食いちぎられそうになった看護師(←私。今でも古傷が痛い…)


で、壊れたマウスピースの代替品の提供を依頼すると『うちの母がそんなことするんですか』と、それはそれは強い口調で迎撃されて、結局知らんぷりされちゃったり…(あ、パルスオキシメーターも壊してたけど、結局修理は病院側でやってたなー)


で、インシデントレポートは書かされちゃうから夜勤明けでもすぐ帰れない、みたいなのとか。


患者さんからの困った行為もそりゃあるけど、基本病気だからね。そこは不問でしょ。


だけどせめてご家族にはもう少し協力してほしいなぁと思う事が度々ありましたよ。


重要な話があるのでお暇な時にきてほしいと連絡しても梨の礫で、在院日数が2ヶ月を超えて行ったり、徘徊・自抜・他患者への暴力なんかが出始めちゃうとこれ、もう拘束するしかないのだけど、結構拒否されるケースもあって、こう言う時の夜勤はまさにシュラバ…ラバ…ンバ……


あまり介護に介入してこないのに病院への要求は多くてきつい、そんなご家族は確かにいるんです。


あ、遅れましたが、みんなが皆んなではありません。




いま医療業界で問題視されているのが、


『5080問題(ゴーゼロハチゼロ)』


です。


これは『80代の親世代』と『50代の子供世代』

のことで、ここにたくさんの問題が生じています。親の死後の遺体放置だとか介護問題だとか。

子供が独身の場合はその負担はかなり大きくなりますし、違ったケースでは親の年金をあてにして生活を維持している子供世帯などなど、医療業界では特にその被害が大きい様な気がします。


ある意味、医療業界にいると『現在の社会の全体像』みたいなものも見えやすいですよね。

あんまり表立っては報道もされないし、大っぴらにもされないから、一般の人々はあんまり認識ないかもですね。


昔の看護師さんもいいだけ意地悪な人、結構いましたけど、最近の看護師さんはほんと余裕なく見える。人がいないのにやること多すぎるからね。

そんな状況なのにご家族からの協力が得られないともう本当にフリーズするしかなくなるんですよぉ〜。

結局は50代の子供世代も老人医療に向かって突き進んでいる訳ですし、その時に手厚い看護が受けられる様、潜在看護師を増やさないご協力をお願いしたいものです。

若い看護師さん達には挫けず頑張って欲しいものです。

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