土佐犬民 「まっことアイツには腹ん立ったぜよ!!」

馬場 「そうか、そりゃ悪い事したな。あの清掃会社とは合わなかったってことだな。しかし稲葉は俺の後輩でよ、確かに行くときは行くが基本的には穏やかな奴だったんだけどな。穏やかってことでウチのシノギも“自分には無理”って辞めたくらいだし。色々悪い状況が重なってストレスでもあったのかもな。まぁまた仕事があったらとっさんに紹介するからこのままココに居てくれよ。あんたも仕事が無いってことで俺に相談してきたんだし構わないだろ? なあに、家賃は俺が出してやるから心配しなくていいからよ」

土佐犬民 「世話んなるのぅ馬場ちゃん。おらぁおまんみたいな面倒見のええ友達んおっち感謝感激雨あられぜよ! うっうっ・・」

泣いたフリをする土佐犬民。

馬場 「うんうん。いや俺もな、ヤクザへの締め付けが厳しくなって急に付き合いをやめる人間ばかりの中でさ、とっさんだけは遊んでくれたじゃん? それってよく考えたら男気があるか相当なバカかのどっちかだろ? だから今回とっさんが仕事が無くて困ってるから義理は通したいと思ってな」

土佐犬民 「ふんふん、よう分からんけどおらに対する憧れみたいな気持ちは伝わって来る。ホンマにおまんは大和魂の塊っちゅうか・・。よし! おらも次の仕事は気張っちやる! ただ、ただにゃ? できたらおなごが多い華やかな職場じゃとおらに合うとは思うちゅう。いやおらはそんなワガママ言える立場やないけんどの、なんちゅうかおらの明るいキャラクターっちゅうがは社内の雰囲気を円滑にするろが? じゃきギスギスしがちなおなごの多い場所じゃと雰囲気が良うなっち会社の業績も上がるきの? そうなると馬場ちゃんの評価も上がるろうにゃあ・・。いや、ワガママを言いゆうがじゃないぞ? そんな事言える立場やないき」

馬場 「そうか、実はもう決めてるんだよ。ゲームセンターの居抜き物件があって、そこでとっさんに好きな事をやってもらおうと思ってる」

土佐犬民 「何!? ちゅうことはおらがトップつか!? ク~ッ! やっぱりおまんはただのバカなヤクザとは違う! おらが使われるより使う側の人間っちゅうことを見抜いた訳じゃろ!? さすがこの時代を生き残っちゅうだけのことはある! ・・けんど待てよ? いざ好きな事言われても何すりゃあええがか迷うにゃあ・・。何しょうか・・」

馬場 「何でもいいよ。何しようが誰を雇おうが。ま、とりあえず今はその話は忘れて飲もうぜ。カンパーイ。・・ところで知ってる?俺ととっさんの付き合いが20周年って」

土佐犬民 「何!? おっとろっしゃ! 20年つか! 馬場ちゃんと知り合うてそんなになるがか! 早いもんやにゃあ・・おらも歳取るわけやのう」

馬場 「そう、初めて会ったのがとっさんが40で俺が30だった」

土佐犬民 「ほうか。最初馬場ちゃんと知り合うたきっかけは何やったっぞ・・? ほうじゃ! 確かいきなり裏ビデオのカタログがおらんくに届いたがじゃった。怪しいにゃあ思うたがをハッキリ覚えちゅうぞ」

馬場 「いや!それは絶対無いな。無差別にカタログ送ったりしたらすぐ捕まっちゃうよ。確かなぁ、ウチは20年前は如何わしい雑誌にビガーパンツの広告出す仕事を請け負ってて、パンツの購入者の名簿を使って裏ビデオのカタログを送ってた頃だ。警察に届け出るにも恥ずかしいって心理を利用してな。だからあんた100%パンツ買ったよね?」

土佐犬民 「ぬぬぬぬ」

馬場 「ガッハッハ! 気にするこたないよ、そんなの日常茶飯事だったからよ。で、ある日見たことない番号から電話が掛かってきてさ、マザコン物のビデオの内容について『本当の親子なのか』って聞いてくるのがいたんだよね。俺警察関係者だと怪しんでしらばっくれて電話切っちゃって。そしたらあくる日もその次の日も本当の親子かどうかをしつこく聞いてきて。あれ?客なのかなって。それがとっさんだったんだよな。それ以来常連さんになっちゃって」

土佐犬民 「今まで本当の親子は1本も無かったけんどにゃ!!」

馬場 「ガハハ! まあそう怒んないでよ。だから今日はとっさんが欲しいって言ってたDVDを入居祝いでサービスしようと持ってきたんだからさ。これな『弟の嫁の母の姉』。あのさ、見るDVDが年々マニアックになってるようだけど、お願いだから性犯罪とかで捕まらないでよ? 婦女暴行とか」

土佐犬民 「ちょちょ! あたぁ~! 先生! 馬場先生! いつからそんな寸法が悪なったがです!? ホンッマにおまんは何を言いゆう・・。あんにゃ馬場ちゃん、紳士のおらが婦女暴行とかする訳ないろうが? おまんおらの事をどういう目で見よらあよホンマに・・」

馬場 「いや、あの事件忘れてないよね? 俺が連れて行ってあげた五反田の熟女専門風俗店での全裸口論事件。あんたが無理な事要求しているうちに口論がエスカレートして、怒ったおばちゃんが店を訴える訴えないで一悶着あったやつ。ウチの系列だったから大事にならなかったけどおばちゃんなだめるのに金払ったりして大変だったんだぜ?」

土佐犬民 「ぐぬぬ」

馬場 「だからくれぐれも頼むぜ? 性犯罪だけじゃなくてあらゆる事でだよ? あんたは感情が高ぶると暴発するところがあるからそれが心配なんだよ。てか体の為にもあんまり怒んない方がいいぜ? 稲葉んとこの健康診断で病院いかされたろ? で稲葉が言ってたんだよ、血圧凄かったって。上がいくつだったっけ?」

土佐犬民 「200」

馬場 「だろ? 稲葉言ってたもん“病院行く前はべらべら喋ってたのに、真っ青な顔して無言で戻ってきた”って。気ぃつけなよ? ところで話変わるけどここの住み心地はどうよ?」

土佐犬民 「住み心地・・。あっ、ほうじゃ! 昨日ぜよ! おらの下の部屋の奴、見た感じおらと歳変わらんばぁのええ年したおっさんが住みゆうがやけんどの」

馬場 「あぁ、竜さんか」

土佐犬民 「竜さん言うがか。そいとがの、アパートの外でずうっと何かブツブツ言いゆうんじゃ。何ぞ思うて外出たらにゃ、全裸で何か抱え込んで『おかしいなあ。おかしいなあ』言いゆうんじゃ。おらが近づいち『あんた、どうかしたがかよ?』言うたらおっさんが『いや、このリュックの中にパンツを入れたはずなんだけど無いんだよ。おかしいなあ』言うんじゃ。何ぞ思うてよう見たらの、炊飯器の中をゴソゴソ探りゆう!!」

馬場 「・・あぁ、ガッハッハ!」

土佐犬民 「ほんでおらが『そいとはリュックやないぜよ。空っぽの炊飯器ぞ?』言うたらそいつが『・・・またまたぁ!』言うち笑い出しち! こりゃアル中かクスリか知らんけどどうしたもんかよと考えよったらの、その隣の部屋からタバコ咥えた両腕刺青だらけの中年女が出ちきちの、おらに『ちょっと離れて』言うち、いきなりおっさんにホースで水かけゆうが!ほんでおっさんが立ち上がったき、こりゃあ喧嘩になるよ思いよったら『また七三が流行ってるよ!』言うち裸のまんまでピャーッとどっか走っちっちの。ほんで女も何事もなかったように部屋にもんたがじゃが、何ぞあいつらぁは? それとおらの隣の部屋のベランダ見たら明らかに大麻の葉が見えちゅうがじゃが。このアパート大丈夫ながかよ?」

馬場 「あのー・・、とっさんには申し訳ないんだけど、早い話ここは占有物件なのよ」

土佐犬民 「占有物件?」

馬場 「そう、つまり勝手に住んでるの。そういう訳だから借りる方もリスクがあるからハードルが下がるだろ? そうなると行く当てのないバカ、キチガイ、ヤク中・・」

土佐犬民 「オイーーーーッ!! とうとう仲間入り!! おいウソじゃろ!? 昭和の漫画で見たあの世界かよ!? クソッ、おらもここまで落ちたがかよ・・!」

馬場 「・・そうだよな、アンタまあまあの企業に勤めてたもんな。なのにリストラにあってな・・。でも生きていたら色んな事があるからさ、とりあえず住むところがあるだけでもいいだろ? 次の仕事も決まってるし俺もバックアップするからさ」

土佐犬民 「ううっ、いかん、本物の涙が出そうじゃ・・」

闘いは続く。
アレキ 「さあ今月は興業が立て続けに行われたUFCの感想から行こうか。コナー・マクレガーがジョゼ・アルドに勝ったんだがどうよ」

ヒョードル 「コナーについてはたぶん多くの人がコナーに抱いているであろう“なんか荒いな”っていう印象を俺も持っていたんだけど、でもここまで通用したのはMMAという競技だからこそなのかなとはしみじみ思いましたねえ。あと最近のUFCでチャンピオンになったのがファブリシオ、ロックホールド、コナーというように柔術に長けた選手がチャンピオンになり始めたのは、MMAの流れがレスリング重視から柔術重視へとシフトしているのかなと。やっぱり下になっても自信があるというのは打撃の打ち方にも影響するよな。ただUFCはレスリングが主である競技には間違いないから大きな波になるかは疑問だけども。

あともう一つ思ったコナーの勝因は、パンチが“サウスポーかつリーチがある”ってことと‟ヘタウマ”なことじゃないかと。コナーがガーッと来始めた頃に試合を見て感じてたんだけど、ニック&ネイトのディアス兄弟がガーッと来始めた頃に似てるなと。挑発が凄いとかも似てるけども(笑)、そうではなくて線が細くて、パンチはいわゆる手打ちで下手だろ。その割にはなぜか当たって連勝街道を突き進む一因になっていたところが似てるなと。

なんで勢いが凄かったかというと前述の理由になるんだが、何の競技でも絶対数の少ないサウスポーは貴重だけど、加えてリーチもあってなおかつクセのあるパンチを打つ奴なんて練習相手が見つからなくて短期間じゃ対策が取れないのが大きいと思うんだな。それにプラスしてビッグマウスが影響して対戦相手を飛び級してしまっているからね。だからディアス兄弟も一時は凄かったが急に負けが込み始めたろ? コナーはディアス兄弟よりは綺麗なパンチを打つしキックも多用するけど、大まかには優れた身体能力を持っているというよりは特異性が功を奏している同種っていう印象だよ」

アレキ 「試合スタイルも典型的な打+柔ってところも同じだしな」

ヒョードル 「だからコナーはこれからが厳しいだろうね。打撃に関してもアウトボクシングをするタイプではないからダメージも蓄積してくると思うよ。今回も最後アルドの返しのフックをもらってたしな。あと何というかなぁ、前々戦のチャド・メンデスなんか完全に飲まれてたよな。アルドも飲まれてたからいつものようにじっくりと行かずに失敗したという風にも捉えられるけど、もしそういうメンタル的な部分で上位に立っていたのだとしたらエドガーはもちろん、格下であってもグイダだといった精神的にタフな相手だとどうだろうと思うね。これまでの相手も割と“萎える”選手との試合が多いしね」

アレキ 「コナーはライト級も制覇するって言ってるらしいが」

ヒョードル 「大口を叩く割には2階級だけなのかよっていう(笑)。それはちょっとカッコ悪いね」

アレキ 「ロックホールドvsワイドマンは?」

ヒョードル 「なんか2人とも1Rでバテてたよな。それにしても同い年には見えないくらいロックホールドの老獪さが目立った試合になったなと。3Rにワイドマンが回し蹴りを出してバックを取られたというのが敗因となった一点に尽きるわけだけども、一本勝ちを狙った動きというのは本気で取れると思ったのかも知れないからやみくもに『色気を出した』と批判するのもどうかと思ってるんだけど、あの回し蹴りは何を言われても仕方のない完成度の低さだったわな。しかしアンデウソン戦での膝十字狙いとか、ああいう思い切った動きが持ち味っちゃ持ち味なんだけどな」

アレキ 「あのダイナミック過ぎていつも空振りする右ハイキックとか(笑)」

ヒョードル 「踏み込み過ぎだろっつう(笑)。でも相性も良くなかった感じがしたね。ロックホールドは逆に賢くて緻密な選手で、ワイドマンは自分のやることを全て見透かされている心境だったかもな。だから再戦してもリベンジできるイメージが沸かないんだよな。ロックホールドにはやっぱビクトーのような瞬発力のある打撃を持った選手でないと勝てる見込みが無さそうなんだよな。大穴でヨエル・ロメロとか(笑)」

アレキ 「ロメロさんは面白さですでにナンバーワンだぞ!(笑)」

ヒョードル 「何なんだろうなあの人(笑)。身体能力だけで生きていたらここまで来てた、みたいなひょうひょうとした感じは。ティム・ケネディ戦でのあの“もう嫌だ”みたいに椅子から微動だにしなかったのアレ何だよ(笑)。で、その後勝っちゃうっていう(笑)。自分に正直というか子供がまんま大人になったというか、いかにもカリブの人っぽいよな。カバウカンチに負けた時もあっけらかんとしてたしな。今回のジャカレイ戦も怪しい勝ちなんだっけ?」

アレキ 「まあスプリットだから怪しいっちゃ怪しいんだけど」

ヒョードル 「もうね、カードで言うとジョーカーですわ(笑)。さあ俺も復帰に向けて練習すっぺ!」
土佐犬民 「もしもし! もしもーしっ!! 稲葉さんおはようございます! トビオリールの土佐です!」

稲葉 「おはようございますじゃないよ! あんた昨日でクビって言ったよね!? なんで出勤してんのよ! もう一回言うよ、あなたは昨日付けでマンション・トビオリールの清掃員の仕事を解除されました! 以上!」

土佐犬民 「待てい! 稲葉さん、確かに昨日あんたが電話でなんだかんだ言うたがは覚えちゅう! じゃけんどにゃ、おらは分かっちゅうが。あんたはすぐカッとなるところがある人やき、本気やなくてもついクビとか言う癖があるがじゃろう? じゃきおらはそれを見抜いて今日も出勤しちゅうわけよ。いやいや礼はいらん! 本音は助かったと思うちゅうやろうけど、こういうがはお互い照れくさいじゃろ(笑)!」

稲葉 「あんたいい加減にしろよ」

土佐犬民 「おぉん? 何で怒っちゅうがぞ? あんたはにゃ、いっつもカッカカッカして何を言いゆうがかよう分からん。あんたは寸法が悪い人間やないけんどもうちょっとおらみたいに冷静沈着に話をせないかんぜよ。ひょっとしたらアレかよ? 短気が原因でこんなしょうもない零細企業の係長っちゅうくすぶった人生を送るハメになっちょるがやないか?」

稲葉 「何様だよ!! あんたはそこに雇われてたんだぞ!」

土佐犬民 「ぬぬぬ。まあ、まあえいわい。さっきの話に戻るけんどおらがクビたぁどういう事ぞ? おらの素行に問題があったとでも言うがかよ? 稲葉さん、あんたはおらの息子言うてもおかしないばぁ歳が離れちゅうけんど、ちゃんとさん付けで呼びゆうし・・」

稲葉 「当たり前だろ! 本来なら全部敬語だよ! それもムカついてたけどそんなことじゃないの。あんたの仕事ぶりについて住民から苦情があったの。分かる?」

土佐犬民 「いや稲葉さん、確かにあんたから住民がなんたらとか何回も電話でグチグチ言うち来たがは覚えちゅう。それは間違いない。じゃけんどにゃ? 住民から直接おらにクレーム入れてきた人は一人もおらんぜよ! この事実はおかしないかよ!? おぉん!? 実は人件費削減のための口実じゃないがかよ!? おぉん!?」

稲葉 「おかしくないよ。直接クレームを入れるより管理会社に連絡した方が記録にもなるし、だいいちクレームを入れた人と会ったときバツが悪いだろう? あんたは声も大きいから直接言うのが怖いってのもあって俺のところに連絡がいくつも来たんだよ。てかさぁ、こんなの普通の事じゃないの?」

土佐犬民 「ぐぎぎ。まあとりあえずそれはそれでええわ。けんどにゃ? おらの何が不満やったがかっちゅう話ぜよ。具体的な話が無いじゃろうが!」

稲葉 「だからその都度伝えただろうよ。覚えてないの? まったくあんたは都合の悪いことは覚えないのか他人の話を意に介さないのか・・。まあいいよ、餞別として1つずつおさらいしてあげるよ。まず最初に住民と会う度にどこへ行くのかとか何しに行くのかとか、仕事は何してるのかとかいちいち聞くなって話をしたよね?」

土佐犬民 「それはコムニケーションのひとつよ! あっ、すまんすまん、難しい言葉使うてしもうた。要はお互いを知る会話のようなもんよ。住人と良好な関係を築くためには相手の事は全部知っちょかにゃいかん! それの何が悪いがぜよ?」

稲葉 「突っこむところはたくさんあるけど先に進めそうにないから次行くわ。で、エレベーター入った正面の壁に八代亜紀の等身大ポスターを貼った件な。あんたは自分の仕事の能率アップのためとか言ってたけど、住人から驚くから剥がせってクレームが入ったことは伝えたよね? 夜エレベーターに乗ろうとしたおじいさんが照明が付いた瞬間幽霊と勘違いして転んで骨折した話もしたよね?」

土佐犬民 「いや稲葉さん、大体あのジジイはボケちゅうがやき。毎朝日の丸のハチマキしてうつろな目で出かけるき、おらが『おんちゃん、毎朝どこへ行きゆうがぞ?』言うたら『隊長を助けに行く』言うんじゃ。もうアウトじゃろ? 太平洋戦争の記憶しか残っちょらんがぞ? そんな状態やき本当にポスターが原因でコケたがか信用できんじゃいか」

稲葉 「もういい。あと玄関のロビーに掲示板あったでしょ? あんたゴミの事で何て貼り紙したか覚えてる?」

土佐犬民 「知らん」

稲葉 「『今後ゴミの分別を間違えた不届き者はおらに対する宣戦布告とみなしますけん外出時はおらに会わんように注意して下さい』って貼り紙をしてんの。困るの、こんなことされると」

土佐犬民 「なんでぜよ! 間違える方が悪いろうが! あのせいでおらは臭い匂いの中ゴミの仕分けをせにゃあいかんがぜよ!」

稲葉 「それが仕事だから! あと掲示板を私物化しないでくれってのも言ったよね? 『今日の標語』とか勝手に毎日貼り付けてさぁ、何なのよこの“高くたっていいじゃないか血圧だもの”って」

土佐犬民 「そりゃあおらの自己紹介よ」

稲葉 「しかも翌日には“明日は明日の風が吹く”とかもうネタ切れしてるし。百歩譲って、百歩譲ってオリジナルを続けるならまだしも・・」

土佐犬民 「えー・・標語の件・・オリジナル・・」

稲葉 「まさかメモってないよね!? 百歩譲ってって今聞こえたよね!?」

土佐犬民 「う、うるさいのうホンマに」

稲葉 「あんたはさぁ、筋は間違ってないんだけど対応が過剰過ぎるんだよ。はぁ、人手不足のせいで知人から紹介されたあんたをすぐ雇った俺が悪いんだろうな・・」

土佐犬民 「やかましい! 独り言みたいな体の悪口やめい!」

稲葉 「・・話変わるけどさぁ、毎月送ってくれるあんたの出勤簿、いつもバナナの匂いするけど何なの?」

土佐犬民 「そ、そりゃあおらが毎朝食べゆうバナナの近くに置いちゅうき、匂いが移ったがじゃないかよ? 別に構わんろうが!」

稲葉 「ふーん。いや構わないんだけど気になったから。で、とりあえず全部おさらいしたんだけど。分かったよね?」

土佐犬民 「稲葉さん、あんたの言いたい事は分かった! 苦情があった時にあんたからおらに連絡があったことは認めるし、おらがその時々で対応できんかったことも認める」

稲葉 「・・ほぅ」

土佐犬民 「けんどにゃ? おらがそこまで出来んかった大本の原因は何か言うたら要するに稲葉さん、あんたが部下にそうさせるだけの人望が足りんかったいう事やないかよ?」

稲葉 「あぁ!?」

土佐犬民 「ほりゃその『あぁ!?』とか、もう怖いのう怖いのう。全身が震え上がるのうブルブル。結局あんたはにゃ、短気過ぎて部下が忠誠心を持てんわけ! どうしようもない上司ながよ」

稲葉 「どうしようもない? その言葉そっくりそのまま返すわクソ野郎!」

土佐犬民 「ぐぎぎ、おまんはホンマに生意気なというたち・・。まあええわ。あんにゃ、おまんが絶句するようなこと教えちゃろうか? ビビって電話切るなよ! 実はこんなこともあろうかと思うてにゃあ、この電話録音しゆうがぞ!? おぉん!? そんな口の聞き方しよったらこれを証拠に出るとこ出るかも知れんぞっちゅうことよ! おぉん!?」

稲葉 「勝手にしろよ! こっちは何から何まで全部記録してんだよ! 出ろよ! 絶対出ろよぉぉぉ!」

土佐犬民 「ぬぬぬぬぬぬぬぬ」

稲葉 「じゃあ法廷で会いましょう!(ガチャ)」

土佐犬民 「・・なかなかやるじゃいか稲葉! おまんも今日からおらのライバルに登録しちゃるきにゃ!」