「梯子では天まで上れない」イランの諺 | バザラスからのアジアン紀行

「梯子では天まで上れない」イランの諺

以下、イラン・イスラム共和国

国営放送国際ネットニュース

Pars Todayより。

 

 

「皆様こんにちは。

 現在のイランで実際に使われている

 ペルシャ語の生きた表現を毎回1つず

 つご紹介する「ペルシャ語ことわざ散歩」、

 今回は「梯子では天まで上れない」という

 ことわざをご紹介しましょう。

 

この表現は、Baa nardebaan be 

aasemaan nemishe raft と読まれ

ます。

 

恐らく、皆様の中には、文字通りの意味

から何となく本来の意味をご想像いただ

けた方もいらっしゃるかと思います。

 

このことわざに出てくる「梯子で天まで上る

というのは、不可能なことや無理難題を意味

しています。

 

単純に考えても、梯子では天空に上が

ることは到底無理で、宇宙ロケットに

でも乗る必要があります。

 

そこで、全体としては「他人に無理難題

を押し付け、それを達成するよう期待

する」、または「短時間ではできそうもな

いことを無理やりやらせようとする」とい

うことを意味しています。

 

また、何かをするには正しい方法やルート

から入らなければならない、とも解釈され

ます。

 

さらには、無理な要求を押し付けてくる

人に対し、このことわざを使って「あなた

の要求は地球ではなく宇宙の方法で

解決しなければならないが、私たちに

は宇宙に行くための梯子がないので、

あなたの要求には応じられない」という

場合もあります。

 

実際に私がイランで耳にした、このことわ

ざが使われていたケースをご紹介しましょう。

 

ある人が英語の書類をペルシャ語に訳そ

うとしていた時に、学校で英語を習い始め

て間もないその人の子供が「お父さん、単

語の意味をネットで調べれば単語1つ1つ

の意味が書いてあるから、それをつなげば

訳せるでしょ?」と言いました。

 

それに対して、その子の父親は一語一語

の意味を調べて訳語をつないでも正しい

文章にはならないことを知っていました。

 

そこで、子供に対し「単語の意味だけ分

かっても駄目だよ。

 

単語1つ1つの意味は分かっても、文全体

として全然意味が分からないこともあるん

だよ。

 

梯子では天まで上れないからね」と説明

していました。

 

実際、私自身も日々の翻訳業務で同じ

ようなことを感じていますし、このお父さ

んの説明は見事な回答だと思いますが、

皆様はどのようにお考えでしょうか。

 

それではまた。」