梅
1月を過ぎると、
甘い香りを漂わせながら、
蝋梅が綻びだす。
蝋梅に心を奪われている
隙を狙って、
梅が駆け足で
綻んできた。
早春の花々の競演は、
目まぐるしく賑やかだ。
まづ祝へ梅をこころの冬籠り
芭蕉
長く辛い冬籠りも、
梅の花が咲き始めると、
氷きった心へのご祝儀として、
春の便りを届けてくれるから、
着込んで塞ぎ込んだ胸を
開いて、
春の兆しを心に受け止めて、
前を向いて歩んで行こう。
そんな意味の句だろうか。
万葉集には、梅の歌が120首、
桜の歌は40首くらいしか無いと
いう。
日常に慣れ親しんだ桜よりも、
中国伝来の梅の花に、進取
の気性に富んだ歌人たちが
梅を詠み込んだのだろう。
春を告げる梅花は、
他の花に先駆けて寒気の中で
で咲くので「花の兄」と言うらしい。
種々の梅花盛りの
競演はもう間近だ。