映画『シャルギー(東洋人)』
「日本のイスラム学者、言語学者、東洋思想研究者の井筒俊彦氏の
生涯を描いたドキュメンタリー映画の制作が終了しました。
井筒俊彦氏は、イランの学界だけでなく、トルコ、エジプト、レバノン、
マレーシアなどのイスラム諸国でも、著名なコーラン研究者、イスラム
学者として知られています。
この映画では、イランの哲学者のホセイン・ナスル氏、作家のメフディ・モハッゲグ氏、
歴史学者の黒田俊雄氏、思想家のウィズネスキー氏など、世界各国の60人
を超える研究者が、井筒俊彦氏の人生、作品、思想に関して見解を述べています。
この映画にはまた、井筒研究家のバフマンザッキープール氏、
井筒氏のもとで学んだゴラームレザー・アーヴァーニー氏やナスロッラー・
プールジャヴァーディ氏、井筒氏と家族ぐるみの親交があった
ノウシャーファリーン・アンサーリー氏、西洋哲学者のキャリーム・モジュタヘディ氏、
現在イラン外務次官で、以前に日本駐在イラン大使を務めたアラーグチー氏、
コーラン研究者のアフマド・パーキャトチー氏、元大阪大学教授のハーシェム・
ラジャブザーデ氏、シャフリヤール・ニヤーズィー氏などが出演しています。
この映画は、イラン、日本、フランス、スイス、イタリア、トルコ、カナダ、
アメリカ、シリア、スペイン、中国など13カ国で撮影が行われ、すべての
インタビューはそれぞれの国の言語で撮影されたために、およそ12の
言語が含まれ、全編は130分です。
この映画はイラン、日本、カナダで関係者向けに特別に公開されます。
このドキュメンタリー映画は、日本の著名なイスラム学者で、コーランを
日本語に翻訳した故・井筒俊彦氏の生涯と思想を描いたものです。
IRIB通信が、在日イラン文化参事官の話として伝えたところによりますと、
マスウード・ターヘリー氏の制作によるこの映画の公開式典は、日本の著名
な思想家や要人の列席のもと、24日火曜、在日イラン文化参事室により開催
されました。
この映画の制作にあたっては、12カ国以上の著名な思想家102人とのインタビュー
が行われています。https://www.youtube.com/watch?v=MtVsQbXnyD0&t=31s
今回の式典の最初にあたって、ディーヴサーラール在日イラン文化参事官が、
日・イ国交樹立90周年記念とイランイスラム革命勝利40周年記念がちょうど
同じ年に当たる事に触れ、「イランと日本は、それぞれ西アジアと東アジアの
大国として、長い交流の歴史を持ち、常に奥深い友好関係を維持してきており、
この2つの国の国民は、互いの文化に大きな関心を持ち続けてきている。
こうした中で、日本のイスラム学者やイラン学者のエリート、有識者たち、
さらにはイランの日本学者が果たした大きな役割が指摘されるべきであり、
我々はこうした親密な関係が、これらの人々に負うところが大きいと考える」
と述べました。
井筒俊彦氏は、日本のイスラム学者、哲学者であり、コーランを日本語に翻訳
したとともに、イスラムや道教、仏教などの東洋の思想哲学にも特別な注目を寄せ、
最終的にはアジア哲学という形で自らの哲学を提唱しました。
今回公開されたドキュメンタリー映画の多くは、井筒氏のこうした哲学の
基盤の形成や、その批評に重点が置かれています。」