Vol.69 Artists in Catskill 1 Patrice Lorenz
Artists in Catskill 1 Patrice Lorenz
前に紹介したキャツキル
にはたくさんのアーティストが暮らしています。
キャツキルの風景画家といえばトーマス・コール{1801-1848年}が有名です。
彼はキャツキルに住み、キャツキルの雄大な自然を描き、風景画の”ハドソン・リバー派“の創始者として知られています。彼の絵はメトロポリタン美術館に展示されています。
トーマス・コールに触発されながらも、独自の画風で、キャツキルを描いている二人の女性画家を紹介しましょう。一人目はパトリス・ロレンズさん。
彼女は子供のころから描くことが大好きで、他の勉強をせず、絵ばかり描いていました。当時の日本人の先生が、好きな絵を描くことを応援してくれたことをとても感謝しているそうです。ニューヨーク州のオルバニー大学でアートのマスターを得て、絵を教えながら、子育てもしてきました。そして、今、キャツキルの自然を描くという人生の第3章を楽しんでいます。
200年以上の古い家をボーイブレンドのテッドさんと改装しながら、暮らしています。
「私の絵は自然をそのままリアルに描くのではなく、心象風景のような物、つまり私の心の内部に喚起したイメージを描いています」
パトリスさんの絵はとても神秘的です。花や木、山など自然が描かれているのですが、人が見た自然とは違う彼女の心の鏡に映った物を描いているからでしょう。
そして、とても不思議なことが起こったのです。
何枚の絵を同時に描く彼女は描きかけの絵を置いておいて、或る時、ふとさかさまにしてみたら、まったく違うイメージの絵になり、その絵も彼女の心象風景にぴったりと合ったのです。その絵をご覧ください。
どうですか、さかさまにして、別の絵として楽しめますよね。
もう一枚別な絵もご覧ください。
この現象はパトリシスさんが自然を写真のようにリアルに描いているのではなく、彼女の心の鏡に映った自然を描いているからこそ起こった現象です。
彼女の油絵はとてもダイナミックな色で溢れていますが、それも不思議な出会いがあったのです。
「私は長い間、黒と白でドローイングばかり描いてきたので、色というのが良く理解できなかったのですが、ある日、ジャズを聴いていたら、突然、色が理解できたのです。私の色の世界が見えたのです」
音楽を聴いて、色が見えるというのはすごいですね。絵を見て、音楽が聞こえるということもあるかも知れませんね。色を感じさせる音楽、音楽を感じさせる絵というのが本当の芸術かもしれません。
パトリスさんがキャツキルのこの家を選んだ理由は、彼女のおばさんの名前がマーガレットでキャツキルにマーガレットヴィルというのがあり、この村に近い場所だったからだそうです。偶然にも私がマーガレットヴィルのギャラリーを訪れた時、グループ展が行われており、そこに彼女の絵がありました。私は一目でパトリスさんの絵だとわかったのです。
彼女の心の鏡に映った自然をこれからどのように描いていくのかとても楽しみです。









