特許訴訟に敗れたサムスン、誤算が招いた最悪の結末 | OVERNIGHT SUCCESS

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特許訴訟に敗れたサムスン、誤算が招いた最悪の結末 ロイター 8月28日(火)12時10分配信 8月27日、米国で争われていたアップルとサムスンのスマホ特許訴訟はアップルに軍配が上がったが、裁判ではサムスン側の弁護人に読み違いがあったという。写真はサムスンの端末。ソウル市内で撮影(2012年 ロイター/Lee Jae Won) [サンフランシスコ 27日 ロイター] 2010年8月、韓国サムスン電子<005930.KS>がスマートフォン「ギャラクシー」を発売したわずか数カ月後、米アップル<AAPL.O>の弁護団は韓国へと飛んだ。 【特集モバイル端末】図表で見るアップルが主張したサムスン特許侵害 アップルの前最高経営責任者(CEO)、故スティーブ・ジョブズ氏は当時すでに、米グーグル<GOOG.O>の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したギャラクシーが、iPhoneを違法にコピーしたものだということをサムスン幹部に伝えていた。一方でサムスンはアップルにとって重要部品の供給メーカーでもあり、両社の関係を考えると、交渉による解決が最も可能性の高いシナリオとみられていた。 だが、事情に詳しい関係筋によれば、交渉は不調に終わった。サムスンの弁護団は、ギャラクシーをコピーと呼ばれて猛反発し、逆にアップルがサムスンの特許を侵害しているという主張を展開するようになった。 結局、2年前の両社のミーティングで双方の溝は決定的となり、世界各地での特許訴訟という泥沼に向かい、米国の裁判所でアップル勝訴の評決が言い渡されるという結末を迎えることとなる。 カリフォルニア州連邦地裁の陪審団は24日、アップルの一部の特許が侵害されたと判断し、10億5000万ドルの損害を認定。週明けのソウル株式市場ではサムスンの株価が約7%急落した。 特許をめぐる争いは、訴訟に発展する前に当事者間の話し合いで解決する場合が多い。しかし今回の場合は、勝つか負けるかで天と地の差が出る争いであり、両社の間には法律問題の捉え方にも大きな違いがあった。 関係筋によれば、サムスンは自社の無線通信に関する特許が強固かつ価値あるものと信じて疑わず、裁判ではアップル側の訴えを食い止める防波堤的な役割を果たすと考えていた。また、アップルは「角が丸い長方形の外観」などをデザインの盗用として訴えていたが、サムスンはそんな主張が認められるはずがないとも踏んでいたという。 一方、アップル側は、製品の特徴やデザインに関する特許こそ、知的財産の「食物連鎖」の頂点にあると考えており、アンドロイド勢と戦っていくためにも、その正当性を証明することが極めて重要だとの認識を持っていた。 カリフォルニア州連邦地裁の法廷でも、両社は互いに一歩も譲らず、その溝が埋まることはなかった。 裁判に関して言えば、サムスン側の弁護人には読み違いがあった。アップル寄りの評決は市場競争に悪影響を与えると読んでいたが、実際に陪審員たちが重視したのは、アップルが訴えていた「イノベーションの保護」。結果的に陪審団は、ほぼ全面的にアップルの主張を認める形となった。 <深まる亀裂> アップルが初代iPhoneを発売したのは2007年。携帯電話の市場に革命をもたらす存在だった。しかし同じ年、グーグルは「オープン・ハンドセット・アライアンス」を立ち上げ、その後のアンドロイド開発の動きを本格的に見せ始めた。グーグルはアップルとは違ってオープン路線を採用。アップル追い上げを模索していたメーカーの賛同を得るのに時間はかからず、こうした戦略がジョブズ氏を憤慨させ、その後の2年間でアップルとグーグルの関係は冷え込んでいく。 ジョブズ氏の伝記の中でも、同氏がグーグルを「壮大なこそ泥」と呼び、この問題に関して「核戦争を仕掛ける」とも語っていたことが記されている。 2010年8月のミーティングが失敗に終わった後も、アップルとサムスンの弁護団は、韓国や米国で何度も交渉を重ねてきた。 アップル側は同年10月までに、サムスンがスマートフォン1台あたり24ドル、タブレット型端末1台あたり32ドルのロイヤリティを支払うべきだと結論付けたが、結局折り合いはつかなかった。 そして年末までには、両社が顔を合わせて話し合うことはなくなり、亀裂は決定的となっていった。 <泥沼への道> アップルはサムスンとの法廷闘争は必要ないと考えていた。だがアップルの考えをよそに、サムスン側は自社の特許に関する強硬姿勢を強めていき、最終的にはアップルに対し、モバイル機器1台につき約14.4ドルをロイヤリティとして支払うよう求めたのだった。 2011年に入り、サムスンはタブレット端末「Galaxy Tab(ギャラクシータブ)10.1」の発売を開始。アップルにとってみれば、それは完全にiPadの盗作であり、サムスンが自社製品に独自の手を加える意図がないということを示す証拠でもあった。 アップルがカリフォルニア州の連邦地裁にサムスンを訴えたのは同年4月。訴状には、サムスンがアップル製品を「猿まね的に」盗んだと厳しい言葉が並んでいた。その後サムスンは逆提訴し、世界10カ国以上での訴訟合戦に発展していくことになった。 その後1年をかけ、両社は訴訟を続けたものの、どちらかに致命傷を与えるような決定的な司法判断は出なかった。ジョブズ氏が2011年10月に死去し、後任となったティム・クック新CEOも訴訟を続けたものの、「サムスンへの法的措置は不本意だった」と振り返っている。 アップルにとって、サムスンを相手取ったカリフォルニア州での訴訟は、iPhoneとiPadの特許に関する正当性を証明するための試金石となる裁判だった。 今年6月、米連邦地裁はサムスンのタブレット端末「Galaxy Tab10.1」とスマートフォン「ギャラクシー・ネクサス」の販売差し止めの仮処分を決定。連邦地裁の判事は、繰り返し双方に和解を勧め、先月も法廷闘争を回避するための調停の場を設けたが、結局合意に至ることはなかった。 <サムスンの敗因> 冒頭陳述が行われたのは7月末。アップルは幹部デザイナーなど多くの証人を呼び、サムスンの内部文書も引用し、同社が意図的にiPhoneを模倣したと主張した。 対照的に、サムスン側の手際は悪かった。判事は双方に25時間ずつを与えたが、サムスンの弁護人は裁判の序盤に多くの時間を割き過ぎたため、裁判後半で反対尋問の時間をうまく作れなかった。また、サムスンの従業員の証言は、通訳や映像を介して行われたため、陪審員の心をつかむことができなかった。 サムスンはアップルの特許6件を侵害した───。これが今月24日に陪審員が下した判断だった。サムスンの主張はほぼ何一つ聞き入れられなかった。 同社はすでに、訴訟を継続する意向を示している。控訴すれば、仮に製品の販売が差し止められたとしても、それを遅らせることができるかもしれず、新製品を販売するための時間稼ぎもできるだろう。 だが、アップルは今や明確な司法判断を得たのだ。今回の評決は、同社が何よりも重要視している知的財産の価値を司法も認めたということに他ならない。 (原文執筆:Dan Levine、Poornima Gupta記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明) .