日銀のETF買いと日経リンク債は同じこと
「株式市場は非常識 : 変化をつかめ!
少数意見の先読み-真実はここにあり!?
http://blog.livedoor.jp/mkubo1/archives/51339952.html
さんのblogより、よくまとまった記述。」
昨日の東京株式市場は、3%安と久々の大きな下げ。
しかも、後場、日銀がETFを397億円購入しているにもかかわらず、後場は売りに押されてさらに下落しました。
日経新聞にもありましたが、今月、日銀は4回ETFを購(金額はすべて397億円)入しています。
日付 前場の前日比下落率 後場の下げ幅
7日 -2.6% -15円
9日 -1.2% -27円
15日 -1.2% +35円
18日 -2.3% -58円
前場の下落率が概ね1%以上ですと、その後場に買っているようです。
が、15日を除いて、日銀の400億円のETFの買いにも関わらず、マーケットは下落しています。
それだけ、売りが多いということでしょう。
しかも、日銀が買ってくるのを分かっていて、売りをぶつけてくるかのような意図的な感じがします。
投資主体別動向を見ても、売っているのは、外国人であろうと推測できますね。
何となくポジションをはずしている人が多そうです。
大事なことは、この日銀のETFの買いは、市場のボラティリティを低下させる効果があると言うことです。
相場に「たられば」はありませんが、もし、日銀がETFを購入していなかったら、それこそ、もっと下がって、ボラティリティがもっと上昇していたかもしれません。
ボラティリティの低下、特に、下げ相場でのボラティリティの低下は、多くのマーケット関係者(投資家も含む)にとって、最悪の環境なのです。
なんと言っても、利益を出す機会があまりありません。
ゆっくり下げるので、ショートで儲けるのも難しく、リバウンドを狙うのも難しいのです。
いわゆる作用反作用の法則で作用の力が小さいので反作用も当然ちいさくなるということです。
このボラティリティの低下には、もう1つ理由があります。
多分、このブログの読者も知っていると思いますが、「日経リンク債」が原因です。
日経リンク債というのは、債券なのですが、中身はプットオプションの売り(=日経平均の買い)なのです。
最近の日経リンク債は、5500円ノックイン、9500円ノックアウト(早期償還)、期間3年でクーポン3%とか4%とかでしょうか。
この手の商品が結構販売されているようで、つまり、プットオプションの売りが多いということになるのです。
売り手のポイントは、「日経平均が5500円まで下がりませんよ」でしょうね。
最近売れている理由は、条件がよくなってきたことと、3月後半に10000円を越えたことで、早期償還条項を満たしたリンク債が多いらしく、結構、早期償還したので、個人投資家が現金を保有していたということのようです。
リンク債の説明が必要であれば、後日したいと思います。
ここで大事なことは、日経平均のボラティリティは、日銀のETF買いや日経リンク債の販売によって、実態よりも低く抑えられていると言うことです。
ボラティリティが低いと言うことは、マーケットの値動きが抑制されているということで、利益機会が減っていると言うことになります。
ただ、先週金曜日は、さすがに3%安ということで、ボラティリティも上昇してきました。
週末と言うこともあり、ヘッジをした人も多かったのでしょうね。
が、このパターンですと、そのうち、ボラティリティは、抑制されるのでしょうね(大きな悪材料があれば別ですが)。
これは、誰も儲からない相場になって行くのですね。
日銀のETF買いと個人の日経リンク債…ある意味、同じことをしているのです。
どちらも、株式市場で株を買い、ボラティリティを抑制している…
つまり、ボラが上昇するような悪材料が出れば、これらは、大損をするということですね。
世界でも貴重なリスクテーカーなのです。