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ヨーロッパ──危機が運んだ仏独の雪解けムード

ニューズウィーク日本版 3月31日(火) 11時56分配信 / 海外 - 海外総合
 世界規模の経済危機のおかげで、復活しつつあるものもある。フランスとドイツの協力関係だ。

 サルコジ仏大統領とメルケル独首相は、協調して経済危機への対応を続けている。3月17日に公開されたEU議長国あての共同書簡で、両首脳は追加的な景気刺激策よりも規制強化と財政規律の維持が先決だと主張。アメリカとは対照的な姿勢を示した。

 4月3~4日のNATO首脳会議は仏独共催となる予定だ。フランスは3月中旬、43年ぶりにNATOの軍事機構に完全復帰することを決定。これについてサルコジが「仏独友好の重要な要素」と言えば、メルケルも「勇気ある決断で喜ばしい」と応じた。

 これまで両首脳の関係はぎくしゃくしがちだった。この2年間、メルケルは押し出しの強いサルコジの引き立て役同然だった。サルコジは大統領就任直後の 07年、欧州憲法に代わるリスボン条約を取りまとめた功績をEU議長国だったドイツを差し置いて「独り占め」。さらにドイツを除く「地中海連合」を提唱し、反発を買った。

 サルコジは欧州中央銀行(ECB)とユーロ高を激しく非難してもきた。08年秋に金融危機が発生した際には景気対策をめぐるメルケルの慎重な対応を批判、「フランスは行動に出たが、ドイツはまだ考えている」とあざけった。

 これまでのサルコジはドイツよりもイギリス寄りだった。ドイツと手を組んでも効果は「不十分」だと考え、ブラウン英首相との対話を重視していた。だが金融危機の対応に追われる今のイギリスは、フランスにとって以前ほど役に立つ盟友ではなくなっているようだ。

 一方、経済危機に対する仏独のスタンスは一致しつつある。2月にドイツ政府は、フランス政府による国内自動車大手への緊急支援を批判。だがゼネラル・モーターズ(GM)子会社の独オペルが経営難に陥り政府に支援を求めるなか、メルケルは批判のトーンを弱めている。

 外交専門家は以前から、サルコジがドイツとの協力関係の復活に乗り気になると予測していた。歴史的にみても、フランスの大統領がドイツの重要性を理解するには時間がかかるのが通例だからだ。

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