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WBC人気あるけど…制約多く旅行会社は冷ややか

2月28日20時29分配信 産経新聞


WBC人気あるけど…制約多く旅行会社は冷ややか

快足を披露したイチロー(中央)(写真:産経新聞)

 5日に開幕する野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。2月24日に行われた豪州との強化試合の視聴率が20.8%(関東地区)をマークするなど、注目度は高まりつつある。旅行業界も円高の後押しを受け、このイベントで大盛況、と思いきや意外にも反応は冷ややか。権利関係から「WBC」の文字を使えず、大手の中にはツアー開催を見送る旅行会社も目につく。(行場竹彦)

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 「熱狂的なファンは個人で行くのではないですか。当社ではWBCのツアーは計画していません」。こう話すのはJTBの広報担当。WBCのチケットはメジャーリーグ(MLB)の公式サイトから購入でき、ロサンゼルスで開催される決勝は1枚55ドル(約5300円)から550ドル。準決勝は45ドルから500ドルまでと種類が豊富だ。

 ほかにも、近畿日本ツーリストなど大手の旅行会社ではWBCのツアーを売り出さないところが多い。理由についてJTBは「チケットの入手が難しく、簡単に作れるものではない。また、米国開催の2次ラウンド以降はどの国・地域がいつ試合をするのか分からないから売り出しにくい」と説明する。

 現在ツアーを販売している旅行会社は少なく、売り上げ好調とはいえない。日本旅行の担当者は「ツアーの販売開始から1週間たちましたが、まだ1件も売れていません。問い合わせはあるのですが」と明かす。

 エイチ・アイ・エス(HIS)では準決勝または決勝の1試合を組み込んだ5日間のツアーを10万9000円~11万4000円で販売中。2試合のチケットを組み入れたツアーなど複数を用意したが、担当者は「当初の目標は達成したが、通常の海外ツアーと比べると売り上げは少ない」と、こちらも苦戦しているようだ。

 売り上げが伸び悩んでいる背景には日本が準決勝、決勝へ進めるか未確定であることや、「WBC」の名称が権利関係で使用できないことがある。「五輪の場合はJOC(日本オリンピック委員会)がとりまとめて、決められた社が名称を使用できた。WBCはそういう窓口が分からない」と日本旅行の関係者。そのため、同社は『世界野球大会』の名称でツアーを募集しているのが実情。『野球国際試合』の名称でツアーを組むHISも「WBCの名前が使えないのはしようがないが、売り上げへの影響は少なからずある」と打ち明ける。

 もっとも、各社とも、円高の“追い風”を受け海外旅行そのものは好調。「年が明けてから、全体の売り上げは前年と比べて2割程度伸びている。WBCはパイが少ないので、大きく売り出そうという意識はあまりない」(HIS関係者)が本音のようだ。