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時津風部屋の力士急死 「おまえらもやれ」と親方 兄弟子ら、けしかける

9月30日13時10分配信 産経新聞


 「おまえらもやれ」。大相撲の時津風部屋の時太山(ときたいざん)=当時(17)、本名斉藤俊(たかし)さん=が急死した問題で、時津風親方は兄弟子らをけしかけていた。部屋関係者が、斉藤さん死亡当日や前日に受けた暴行の生々しい様子を次のように証言した。急死が発覚した6月、親方はいじめや制裁の有無を記者会見で問われ、「そういうことはない。何が原因でこうなったかのか分からない」と釈明していた。

 6月25日午前11時ごろ、斉藤さんが逃亡したことに兄弟子らが気付いた。近くのコンビニ前にいるのを見つかり連れ戻される。兄弟子から殴られた。

 同日午後6時ごろ、夕食で「逃亡」の罰として斉藤さんは時津風親方の斜め後ろに正座させられた。斉藤さんが「心を入れ替えます。すみませんでした」と許しを求めると、兄弟子は「だまって正座しとけ」と怒鳴り、親方は「何十年も相撲界にいるが、おまえみたいに根性のないやつは初めてだ」と説教した。

 午後7時ごろ。親方は飲み終わったビール瓶で斉藤さんの体を数発殴った。最後に額のあたりを強めに殴り血が流れた。親方は兄弟子らに「おまえらもやってやれ」と指示。3人が「根性いれてきます」と言って、部屋の裏手や宿舎の外で30分以上、素手や金属バットで暴行を加えた。

 兄弟子らは親方の前に連れて行き謝らせたが、親方は「駄目だ。何度おまえにだまされたか」と突き放した。

 翌26日。午前10時ごろにけいこが終わると、間もなく斉藤さんに対して「かわいがり」と呼ばれる集中的なぶつかりげいこが始まった。兄弟子1人が胸を出し、ほか3、4人が取り囲む形で、斉藤さんが倒れると足げにしたりした。親方もそばで見ていた。ぶつかりげいこは1時間以上続いた。

 親方は兄弟子たちに続けさせたまま、風呂と食事を終えて帰ってくると、「後はわしが面倒を見る。おまえらは風呂に入れ」と言い、けいこ場で斉藤さんと2人きりになった。その間約20分。「あー」という斉藤さんのうめき声が聞こえた。午後0時半ごろ、意識不明になり、壁にもたれぐったりしていた。体全体が土気色になっていた。水をかけたが意識が戻らず、親方の「今度は温めよう」という指示で風呂場に運び湯をかけ始めた。弟子たちは「救急車、救急車」とざわつき始めたが、親方は呼ぼうとしなかった。湯でも意識が戻らず、親方もようやく救急車を呼ぶことを承諾した。

 ≪死亡2日後には制裁否定≫

 時津風親方は、斉藤さんの死亡2日後の6月28日、記者会見を開き、「こんなことになって申し訳ない」と陳謝しながらも「普通通りのけいこで、無理はさせていない。亡くなるとは思わなかった」と制裁を否定していた。

 会見で時津風親方は同月26日、「ぶつかりげいこ」を始めたところ息が荒くなり、休ませたが返事もあいまいになったため、救急車を呼んだと説明。いじめやしごきは「やらせないし、力士にそんな気持ちはない。警察からも事件性は一切ないと言われた」と否定。斉藤さんが以前3回部屋を抜け出したとし、「立派にしてやりたいと思っていたのに…」と話していた。