シューベルト「イタリア風序曲 第2番 ハ長調 D. 591」は
14型。コンサートマスターは篠崎史紀。ロッシーニの影響が顕著な曲だが、シューベルトらしい転調の綾が感じられた。
N響はホルン首席が先日カーチュン・ウォン日本フィルでも名演を聴かせた元東京フィル首席の森博文が、チェロ首席に東京フィル首席の金木博幸(かなきひろゆき)がそれぞれ客演していた。
シューマン「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」はエレーヌ・グリモーがコロナ感染のため来日できなくなり、アレッサンドロ・タヴェルナが出演した。1983年生まれ。2009年リーズ国際ピアノ・コンクール第3位。「ミケランジエリの後継者」というイギリスの評は、第1楽章冒頭の第1主題の大理石が響くような音に表れていた。詩情もあると思うところもあったが、それ以上の霊感や奥行きまでには至らず、全体的にはやや単調に感じられた。
アンコールはバッハ(ペトリ編)「羊は安らかに草をはみ」。とつとつとした表現に味わいがあった。
ベートーヴェン「交響曲 第7番 イ長調 作品92」は16型。オーソドックスなアプローチで厚みのある響きで堂々と進む。
第2楽章の主題の対位旋律を弾くヴィオラとチェロに深みがあった。後半のフーガも充実。
ルイージが本領を発揮したのは第4楽章のコーダ。それまでの堂々とはしているが落ち着いた印象の演奏が突如豹変、トランペットを激しく煽りながら、熱狂的な演奏に突入、N響を煽りに煽って興奮の頂点で演奏を終えた。
聴きながら2011年8月4日東京オペラシティのPMFオーケストラとのブラームス「交響曲第2番」の結尾を思い出した。
思い出のコンサート PMFチャリティ・コンサート (2011年8月4日・東京オペラシティ) | ベイのコンサート日記 (ameblo.jp)
先日のブルックナー「交響曲第8番」ではN響の弦の磨き抜かれた滑らかな音に魅了されたが、今日はそうした美しさはあまり感じられなかった。郷古廉がコンサートマスターの時のほうが、ヴァイオリンは美しく響くような気がする。
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:アレッサンドロ・タヴェルナ
シューベルト/イタリア風序曲 第2番 ハ長調 D. 591
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
ベートーヴェン/交響曲 第7番 イ長調 作品92