山形交響楽団 さくらんぼコンサート2023 ラデク・バボラーク(指揮・ホルン) | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

(6月22日・東京オペラシティ)

山形交響楽団のミュージック・アドヴァイザー、ラデク・バボラークが初めて東京で山響との演奏を披露した。

 

山響は12型。コンサートマスターは高橋和貴。ウィーンで学んだためか、ドイツ語も堪能。開演前のプレトークではバボラークとドイツ語で会話、通訳も担当した。

 

最初はスメタナ「連作交響詩《わが祖国》第6曲 ブラニーク。バボラークの考えで“モルダウ”ではなく、終曲にしたとのこと。中間部の緩徐部分はテンポが遅すぎて、少し弛緩したが(オーボエはよく歌い上げた)、前・後半は金管も活躍し、盛り上げた。

 

続いて、完璧なホルニスト、バボラークの面目躍如たるホルンの作品2曲が演奏された。指揮も兼ねた。

山響は6型の小編成。

モーツァルト「ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K.447」

バボラークはホルンを持てば天下無双。余裕綽々と、速いパッセージや装飾音も軽々とクリアしていく。第3楽章狩りのホルンも輝かしい。この作品は恐らく100回以上吹いているのでは?あまりにも手の内に入りすぎ、少しマンネリ気味に聞こえた。

その点、次に演奏したドニゼッティ「ホルン協奏曲 ヘ長調」のほうが、演奏機会が少ないためか、細やかな神経が通っていた。

 

ドヴォルザーク:交響曲 第8番ト長調 作品88

バボラークの指揮は、水戸室内管弦楽団や新日本フィルで何度か聴いた。スメタナでも感じたが、第2楽章や第4楽章のコーダ直前のように緩徐部分になると拍節があいまいになり、音楽が停滞する。ただテンポがはっきりとした個所や、各楽章のクライマックスはアクセントがはっきりとして、切れ味もある。

 

第3楽章アレグレット・グラチオーソは聴かせどころだが、表情が淡々としており、もっと工夫してもよかったのでは。

山響のみずみずしいフルート、歌心のあるオーボエが印象に残った。またチェロの優しい音も魅力的。

 

アンコールはドヴォルザーク「スラヴ舞曲集 第2集作品72  B. 147 第7曲ハ長調」

お祭りのように楽しい演奏。

 

次回のさくらんぼコンサート2024東京公演は、6月20日(木)東京オペラシティ

指揮は常任指揮者の阪哲朗。ソリストに辻󠄀彩奈(ヴァイオリン)上野通明(チェロ)を迎える豪華なもの。曲目は決まり次第発表とのこと。