横山幸雄 ショパン ❝ピアノ協奏曲❞ を弾く デビュー30周年スペシャルコンサート  | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。

(1月12日・サントリーホール)

プログラム巻頭で横山幸雄は会場も曲目も共演者(大友直人指揮都響)も全く同じ30年前のデビュー・コンサートの思い出を語っているが、30年の熟成を感じさせる素晴らしい演奏だった。

 

個人的には30年前ソニー・ミュージックからCDが発売された頃、全国で行ったキャンペーン・イベントが懐かしい。会場で会った後輩から昨年9月に30周年記念特別企画として旧譜が再発売されたと聞きうれしかった。
横山 幸雄 | ソニーミュージックオフィシャルサイト (sonymusic.co.jp)

 

速めのテンポのオーケストラ序奏で始まった第2番。

横山の完璧なテクニックと磨き抜かれた音、宝石のような装飾音の輝きが圧倒的だった。アーティキュレーションは細部まで練り上げられ、探求しつくされている。演奏に余裕があり、巨匠の風格すら感じさせる。

 

1990年第12回ショパン国際コンクールに史上最年少で第3位に入賞したさいも第2番を弾いたので、きっと愛着のある曲なのだろう。

(そのときの映像)
https://youtu.be/kGJsmkVW96k?t=4753

 

大友直人指揮都響の演奏も素晴らしい。ソロ・コンサートマスター矢部達哉ほか、第2ヴァイオリン双紙正哉、ヴィオラ篠崎友美、チェロ古川展生、コントラバス池松宏など首席が揃うベストメンバー。

ショパンの協奏曲では、バックのオーケストラの良さが感じられないことがあり、作曲家の管弦楽法の未熟さがそうさせるのかと思っていたが、対位法的な構造もきちんと表現する大友と都響の堂々とした演奏を聴くとその見方を変えざるを得ない。

 

コーダではオーケストラが演奏しているにもかかわらず、拍手が起きてしまった。普段のコンサートではあり得ない。聴衆はショパン・コンクールの動画に影響されたのだろうか。今日は録画・録音もしていたので気になった。

 

続いて「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」が演奏された。

これも第2番同様に素晴らしい演奏。オーケストラとの息がぴったりと合っていた。
ピアノとオーケストラが同時に終わるので、拍手のタイミングは問題なかった。

 

休憩後は第1番。こちらも颯爽とした速めのテンポのオーケストラの序奏に始まる。第2番に較べると、細部の完成度がいまひとつに思えた。さすがの横山も疲れもあったのだろうか。しかし、第2楽章半ばあたりから再び完璧なまでに練り上げられた演奏になっていった。
またもオーケストラの後奏の最中に拍手が始まり残念。

 

アンコールには「英雄ポロネーズ」が弾かれた。