マルセイユタロット8番、ウエイト版では11番「正義」と
14番「節制」の違いを色で表すとしたらどんな感じかな?と思って色を作ってみました。
「正義」のカードは天秤でフェアに測って、剣で切り分ける絵。
マルセイユタロットの「節制」は分かりやすく青と赤半々の女性が水とワインを混ぜている絵です。
これが19番「太陽」まで行くと、青と赤なら「紫」になるわけです。
「正義」と「節制」の違いというのは、
この紫とこの紫↓の違いみたいなものかな、と思います。
「正義」
「節制」
正義の紫は、赤と青の集合体です。
上の「正義」を拡大したもの↓
これに対し、「節制」やその後の「太陽」は、
紫というオリジナルな色です。
もちろん、二人の配合よって赤紫にも本紫にも青紫にもなりますが、
私と相手ならではの色であることは確かです。
要するに、「正義」は分ける。混ぜない。
お互いのポリシーを尊重した上で、住み分けたり、協力していく関係。
対して、「節制」は混ぜる。
その時、お互いのポリシーはいったん死にます。意味がなくなる。
13番「死」の次に14番「節制」が来るのはそのためだそうです。
占星術では、「正義」は天秤座。
「死」は蠍座が当てはめられています。
石井ゆかりさんの天秤座の本に、染織家(着物に絵柄を付ける仕事)の志村ふくみさんという方が紹介されていました。
色と色とは、絵の具を混ぜるように混ざり合うものですが、織物の世界では糸自体が色を持ち、組み合わせたとしてもそれらの色が混ざり合ってしまうことはありません。混ざり合わないものの、縦糸と横糸、地糸と色糸がめぐりあったとき、そこに新しい印象や色彩が生まれます。一つひとつの色はあくまで自立していて、解して色ごとに集めればまた元のひとつの色に戻すことができます。
天秤座は、こうした「分断」と「関係」の世界に生きています。
(石井ゆかり 著 『天秤座』 WAVE出版)
「正義」のカードを見ると、中島みゆきさんの「糸」という曲も思い出します。
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない
(「糸」作詞作曲:中島みゆき)
「正義」から「節制」への流れは、「天秤座」から「蠍座」への移行みたいな感じ。
天秤座~蠍座は、秋が始まって深まり、タネができる季節。
天秤座でおしべとめしべが花粉を交換し、蠍座で自分は死んでも二人のタネが残るようなイメージなんだそうです。
タロットでは、男性性と女性性という正反対のものが混ざり、新しいもの(19番・太陽の赤ちゃん)が生まれる課程。
人と人が、天秤座の「私とあなた」の関係から、
「蠍座」の「私たち」になる瞬間。
人ともう一段深い中になる時に、この人となら私のポリシー譲ってもいいかな・・・って思うのかもしれません。
もちろん、混ざるに値しない相手だったときには、
2番「女教皇」みたいに、「おまえとはやっとられんわ!」って線引きしたほうがいい事もあります。自分の領域を守るべき時もある。
でも、14番「節制」が出るような仲なら、もう一段先に行ける可能性がある。
いろいろ違うけど、お互い不満も欠けもあるけれど、それでもあなたとやっていこうって。
14番「節制」は錬金術のカード。
金婚式みたいに、それこそ50年かけても、私たちならではの色を作っていく。
簡単じゃない、苦しい。
だから「金」には価値がある。
もちろん、どちらが正解ということではありません。
仕事などの関係ではビジネスライクに「正義」で分けるべきですし。
でも、人生は割り切れない時もある。それでもいいんだって。
そう考えるとやっぱり14番「節制」は深いし、高度なんだなあ・・・と思います。