【乱読NO.3847】「微分・積分を知らずに経営を語るな」内山力(著)(PHP新書) | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
在庫管理、価格決定、マーケティングなど、私たちはあらゆるビジネスシーンで「昨日の結果から明日を読む」ことが求められる。
カンや経験で予想を行ってきた多くの企業を尻目に、セブン‐イレブン・ジャパン、トヨタ、花王は微分・積分を活用することで大成功をおさめた。
“ビセキ”こそは、世界中の天才たちの努力によって生み出された、最も確実に明日を読む方法なのだ。
しかもその概念は極めて単純、誰にでも理解できる。
数学に強い「できる人」、堅実な経営者となるためには、本書の内容を理解しておきたい。

[ 目次 ]
第1章 微分・積分を30分で理解する
第2章 微分がわかれば利益が上がる
第3章 積分がわかれば在庫が減る
第4章 微分・積分マーケティング
第5章 微分・積分で顧客満足
第6章 微分がわかればコストが下がる

[ 問題提起 ]
中身は微分・積分というより、統計をビジネスに活かすための本。

統計の背後にある意味づけを、微分積分の考えで補足しているといった感じでしょうか。

ビジネスの様々なシーンで、数値「予測」が必要とされますが、数値はパソコンで算出できても、その意味がしっくりこない人に丁度いい解説がなされています。

著者の内山力さんは、次ぎのように説明しています。

現代のビジネスパーソンの最大の悩みは「いかにして明日を読むか」。

経験もカンも度胸も使わず、誰もが、ぐうの音も出ないやり方で予測するために必要なのが、「昨日までを小さく区切って(微分)、それを未来へとつなげていく(積分)」という方法。

つまり、客観的な予測で意思決定するためには微分・積分の考え(統計)が必要ということです。

[ 結論 ]
本書では、第1章で微分・積分の考えを図解し、第2章以降は、ビジネスの現場での活用法を紹介しています。

実際に統計や微分・積分の考えをベースに管理されるビジネスシーンはけっこう多いもの。

個人的には、マーケティングと微分積分との巡り会わせが新鮮でした。

内山さんの本では、「数字を使える営業マンは仕事ができる」などもそうでしたが、考えさえ理解できれば、面倒な計算はエクセルでと、完全に割り切っているところが良いところです。

なにより、理解することだけに集中して読むことがでるのが、ありがたいですね。

ですから、途中で「数式」が少しだけ登場する場面がありますが、腹を固めて読めば、実はそんなに難しくはありません。

本書は、ビジネス上必要な、数学的裏づけのある予測数値を出すために、大きな助けになることは間違いありません。

但し、「数学を恐れない」ビジネスパーソンになって欲しいという内山さんの希望は、多くの人に届いたかどうかはちょっと微妙なところでしょう。

そもそも「微分・積分を知らずに」というタイトルだけで、数学アレルギーの人は、本書を手にしないような気がしますので・・・。

[ コメント ]
限りなく小さく区切るとう発想。

微分と積分の背景には、こういった考えがあります。

本書では数値管理上必要な、微分・積分の考え方が説明されていましたが、発想法としてもこの「極限」で考えることは重要です。

極端な例を考えることで、見えなかったものが見えてきたり、思考の幅が大きく広がることもありますね。

[ 読了した日 ]
2010年5月3日