[ 内容 ]
「数字なんて見るのもイヤッ!」…とはいっても、仕事でも何でも付いて回るのが、数字の厄介なところ。
この本は、日頃そんなふうに感じている人のための本です。
『直観でわかる数学』のハタムラ先生が、とっておきの「数の極意」を伝授します。
読めばたちまち効果テキメン。
数字に負けない地力とシブトさが身につきます。
[ 目次 ]
1 数に強くなる(前口上 数がイヤな理由 ほか)
2 数の感覚をみがく(気色が良い数・気色が悪い数 ゼロの個数を丸覚えする ほか)
3 数の声を聞く(ぜんぶ「1人当たり」にする 水呑百姓はどれほど苦しいか ほか)
4 数を使う(1日1000歩1キロの法則 1駅2分の法則 ほか)
[ 問題提起 ]
最高!
間違いなく、畑村洋太郎の最高傑作。
「面白い」と「ためになる」を双方満足させる本としては、この一年、いや数年で最高の本かも知れません。
本書「数に強くなる」は、技術の伝え方に関しては横綱である畑村洋太郎が、さらに具体的で生活密着度が高く、それでいて難しいとされる「数」に挑んだ本。
「数学」ではなく「数」というところが一段難しい。
類書は数多いが、その中では本書が最高得点かも知れません。
この本を読んでほしい人
「数字なんて大ッキライ」という人
数字を見ると、ジンマシンが出てくる人
ビジネスマンの人(できるなら逃げたいが、仕事で数と向き合わざるをえない人)
家庭の主婦(数学は苦手だったけど、数の世界には少し気がひかれる人)
中学生、高校生、大学生(本当の「わかる勉強」がしてみたいと思う人)
学校で算数や数学を教えている先生
数や数学に、すっかり自信を失ってしまった人
駄目ですよ、岩波さん。
本書のマーケットは、そんなに狭くありません。
本書は、上の逆の人々、すなわち
「数字大好きっ」という人
数字を見ると、ヨダレが出てくる人
ニートの人(できるならこのままでいたいが、世の中の空気と向き合わざるをえない人)
負け犬(数学は得意だったけど、それ以外の世界に少し気がひかれる人)
子供と老人(本当の「わかる勉強」がしてみたいと思う人)
学校で算数や数学以外を教えている先生
数や数学に自身を持っている人
も立派な対象です。
[ 結論 ]
早い話、
日本語を読める人全てが対象です。
複利計算を“暗算”で行うとかソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ているとか「~のまとめ」とか一生懸命ぶくマしているみなさん、その手を休めて本書を手にしてみて下さい。
こういった「数の知恵」がぎっしり詰まってますから。
しかもこちらは満員電車でもトイレでも読めますし、新書なので片手でも読めます。
気合いが入っているのは著者だけではありません。
岩波新書編集部の方もそうです。
岩波というと、内容はきっちりしているけど小難しくて高飛車だという印象があります。
こんな感じですか。
Horror&SF - coco's bloblog
しかし、本書はこんなです。
Horror&SF - coco's bloblog
COCOさん、無断使用失礼しました。
そう。
すごくいい意味でハジけているのです。
畑村ポンチ絵はあいかわらずですし、そして「蛇足」コーナーには、足の生えた蛇のアイコンが必ずまちうけています。
これがかわゆい。
立ち読みするとなんか光文社新書とかを彷彿とさせますが、表紙はまぎれもない岩波新書。
ただし新装版です。
おそらく本書は新装版岩波新書のキラータイトルとなることを最初から期待されていたのでしょう。
「組織を強くする技術の伝え方」をはじめとする一連の畑村シリーズが、講談社現代新書のキラータイトルとなっているように。
[ コメント ]
岩波新書GJ!
本書を読むと強くなるのは数だけではありません。
ものごとを楽しむ力も強くなるのです。
強くなりたい人、是非一冊。
強くなれます。
もう強い人も、ぜひ一冊。
やさしくなれます。
[ 読了した日 ]
2010年1月4日