【乱読NO.3012】「いいたかないけど数学者なのだ」飯高茂(著)(生活人新書) | D.GRAY-MANの趣味ブログ

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[ 内容 ]
数学に生きた奇人・変人、そして数学に燃え、殉じたS君など、生身の数学者の日々を愛情を込めて描写。
また、自分でいろいろやってみると面白さを感じる「数学の講義生中継」も紹介。
エクセルを操作しながら読むと、数学がいっそう身近になるだろう。

[ 目次 ]
第1章 変わり者(我が師H先生 我が友S君)
第2章 S君の読書ノート(S君の読書ノート S君の雑録 S君の数学読書ノート 若い人がこれからすること 40年間、秘められた教授の思い S君の悲劇)
第3章 数学の使い道(ガウスの息子 東大教授も大間違い 飯高研究室を訪れる人々)
第4章 数学の講義生中継(現代科学の講義 エクセルで賭けの実習 理論的考察)

[ 問題提起 ]
施策の不合理さ、世の中の仕組みを見極めるのに、数学は役立つ。

使われている数式はちょっと難しかったが、数学に付いて新たな認識が持てた。

数学は誰が解いても同じ答えが出る、絶対の真理を扱っているからだ。

だから、定理(関連サイト:ウイキペディア)や公理(関連サイト:ウイキペディア)を覚えれば、問題が解けると信じていたが、数学者の著者:飯高茂氏は、自分で作った問題が解けていないものが有ると言う。

「数学が進歩する」なるほど、数学を研究している人がいる、驚きだった。

[ 結論 ]
江戸時代、日本の地域で和算が盛んになり「塵劫記」がベストセラーに、出題や回答を額にして「算額奉納」が行われるなど、数学を庶民が楽しみ生活に役立ててたこと思い出した。(雪月花の数学:参照)

第2章の「S君の読書ノート」で、飯高氏の盟友、新谷拓郎氏の遺稿の日記を紹介しているが、学生時代、勉学になかなか集中できず、文学作品を読みあさりながら苦悩している様子は、勉学中の学生にエールを送ることであろう。

レベルこそ違うが我が学生時代を思い起こさせた。

第3章の「数学の使い道」で、ガウスの息子、ユージンが、6千年前の人類の始祖アダムが生まれた時に年利4%で1ドルを借りたら今(1894年)いくらになるかを計算し1.59E+102ドル(複利)を得た。

(E+64:不可思議、E+66:無料大数。英語はE+12(trillion)、国際的な単位はE+24(Y:ヨタ)までしか読み方がない)

エクセルで計算すると、1.585E+102ドル(複利)、ごく正確だ。

飯高氏は、100円を年利0.001%で預け6千年後を計算している。

なんと106円。

理不尽さを数字で示してくれ、施策の不合理さ、世の中の仕組みを見極めるのにも、数学は役立つ。

飯高氏は、C型肝炎治療に関する医者向けの解説書で、感染してから肝臓癌になる肝臓の状態別確率を、「F4であれば、今後一年間で肝臓癌になる確率は7%。

したがって、今後20年間で140%」としている記述に疑問を投げかけ、「数学は人生を解析するものに使える」の言明の通り、確率の計算の立場から23%は助かるとの結論を出し、患者に希望の灯をともす。

第4章の「数学の講義生中継で、「賭け」の勝負の確率をエクセルを使って実験をし解析、「賭けの鉄則」を導き、その鉄則がユニークである。

[ コメント ]
本文で使われている数式はちょっと難しかったが、数学に付いて新たな認識が持てた。

[ 読了した日 ]
2009年11月17日